Pumpkin Time   

小説や俳句などの作品です


小説

鬼っ子物語  (挫折)

輪廻 全文(135K)

山下綺麗の日記(作成中)


俳句、たまに短歌

桜散り、すぐあと実も散らす

冬燕、薄い青空群れをなす

竹林、笹の葉落としざわめいて

朝早く待ち人遅く白い息

霜降りて人立ちすくむアスファルト

裏作地鶴騒ぎ人の悲しさ

自転車に謝るように若竹たち

鉄道に残り火に似た夏の草

夏草が土手を覆って死体を隠す

夏の陽の中の駅へと鳩降りる

沈黙は列車が止まった冬の午後

毒々しい青菜が土を隠しきる

土の霜、地上を全て占領する

潮の子を冬の貝殻飲み込んで

鰯雲、果てに染まった海がある

シャボン玉、ゆうちゃん、くるくる回ってる

枯れ果てて花だけ残る鶏頭の群

大杉に虐げられて這う小杉

這う杉のか弱さの下、赤き花

万緑が飛び立とうとし羽ひろぐ

初夏のバス、シルバーシートが一つ空く

裸の木、絵筆のごとく空を向く

日を浴びて吹かれる塵も華とみゆ

冬並木、短冊のような白い葉を

雪が舞い、イナゴの群と見間違う

電線が青く澄む空、区分けする

あけていく群青色に白い息

くぼくぽとコーヒーの湯沸く冬の朝

花のみが枯れ木に咲いた寒桜

桃色に着物を纏う寒桜

涼しい風、通りすぎていくアーケード

目を上げて空虚の目立つ人事異動

霜柱、今日はまだ、明日はきっと

北風に蔦の葉、塀にしがみつく

雁の線、連凧になり揺れながら

野の花が踊り続ける火のごとく

秋朝日、たばこの煙も柔らかに

春の日に蝶のように立ちつくす

残暑から木枯らし一番吹き抜ける

秋晴れに窓の外見てため息を

星空を秋雨隠しバスを待つ

枯れ木山、ブラシを逆さにしたように

枯れ木たち生々しき紅煙らせて

雪積もり、全ての色を消し去って

人歩く歩道の雪は汚れるが、まだ純白の壁際の雪

揺れ動き胃液が動く機上にて、下の景色を見たいと思う

街路樹が狭い地面に植えられて、あと何年生きられるやら

北からの夜風に吹かれ始発待つ

街灯の柔らかな灯に北の風

豆柘植が月の明かりに雪のよう

ストローの音が水鳥鳴くように

風化して化石になるか冬木立

凍る風、オリオン座へと吹き抜ける

街灯に切り絵にされた冬並木

冬山へ遠く消えゆくアスファルト

ひび割れたアスファルトから夏草が

高層のビルから眺める青い冬

夜の雨朝には凍るガラス窓

寒雷の音を待って遠く見る

若葉満ちインコの群と見間違う

暑い夜、回し車が鳴り続く

花火待つ涼しき風の川岸で

野いちごを見つけては潰す赤き手で

睡蓮はまだ開かずに鮒過ぎる 

魚跳ねて釣り糸の横ボートこぐ

六月の曇天に外に出るべき

裸足にて雨のアスファルト歩きつつ

紙くずに蟻しがみつき風に飛ぶ

溶岩に似た影投げて冬木立

スモッグの果てに消えゆく冬並木

信号の赤だけ目立つ冬の夜

色あせた花壇に菊の色残る

菊の香がアスファルトの上迷い込む

揺り起こすオレンジ色の冬朝日

秋晴れを電線とビルが邪魔をする

深い碧、白鳥の船、今醒める