保険代理店の情報化―今やらなければ明日はないー

2001年ある日の代理店 新GNP経営(1)  目次に戻る

 

加盟している協同組合の事務センターにインターネットでアクセスし,本日の契約内容を送って長い一日が終った。2年前までは内務事務のために女性社員を雇っていたが今では5分足らずで終る。パソコンとインターネットの威力を実感する。

数年前,直接入金による清算事務の廃止と代理店データ入力により,大きく代理店事務が改善されるとの触れ込みで,保険会社による代理店へのパソコンの導入が始まった。しかし,紙とエンピツに長年なじんだ現場には大きな混乱が生まれた。

特に,保険会社の支援システムが複雑で難しいこともそれに拍車をかけた。ただ,新商品が次々に生まれ料率も煩瑣に変わることで,パソコンとネットワークの利用しないと事務が進まないことになり,情報化に対応できないと止めていく仲間も増えて行った。

その後システムがインターネットに統合されることでかなり扱いやすくなった。従来はそれぞれの保険会社から提供される難しい専用システムに習熟しなければならなかったが,ブラウザ(ホームページ閲覧ソフト)だけで全て済むように今はなっている。

当社は生損保5社と乗合っているが,各社の専用システムが個別に入り,顧客単位の名寄せなどが出来ず大変不便であった。最近,参加している協同組合で開発したシステムを利用することでそれが解決し,本格的にデータに基づいた営業が可能となりつつある。

 

今月は独身女性向け新商品のキャンペーン月間と決めており長年のお得意先をたずねた。最近アメリカ留学から帰り自宅でSOHOライターとして自立しているお嬢さんに新商品をご契約頂いた。あわせて,自動車の更改と満期を迎える簡保の乗り換えをご提案した。

留学中は電子メールで連絡を取り合うというご家族で,かねてよりお勧めしていたパーソナルWEBサービスのためのデータ入力を,ご質問しながら2時間かけて行った。資産管理用に個別家庭の事情にあわせたページを当社のホームページに置くサービスである。

1998年の暮,あるコンサルタントの講演「今やらなければ明日はない」を聞き,パソコン音痴の私が一念発起して取り組み,今ではパソコンが趣味にまでなっている。私がたち上げたパーソナルWEBを見てお客様が驚かれる度に,取り組んで良かったと思う。

このシステムも加盟している協同組合が開発したものでそれを活用している。各ご家庭からインターネットを通じて,資産や収支バランスのシミュレーション,保険などの明細の確認だけでなく,取引銀行や保険会社との資金のやり取りも可能である。

これまで地道に保険診断サービスを重ねることでデータが蓄積されてきており,家計単位でのリスク管理がほぼ可能になったので,次は家計総合管理を目指している。このWEBサービスで徐々にであるが積立保険や最近取り扱いを始めた投信の契約に結びつつある。

3年前,あれもこれもの代理店では生き残れないと考え,同じ考えの仲間と組んで顧客の基盤を交換した。私は個人顧客に特化することにして,パートナーに今までの法人客を譲り,相手は法人客に集中することで,相手より個人客を譲り受けた。

幸いにして両方とも今のところうまく行っており良い関係が続いている。今日朝パートナーよりメールが入っており,更なる展開に向けて提携関係を強化したいとの申し入れであった。11時になったがこれからメールに返事を出したいと考え思案している。

数日前,保毎の電子ニュースレターに今後の代理店手数料の行方について詳しい分析記事が載っていた。この電子メールは各人の興味に合わせて,記事を編集して毎日送られてくるもので重宝している。そういえば最近は新聞をあまり読まなくなった。

その記事によると最低保険料の底上げなどから今後代理店同士で提携・合併・買収といった様々なアライアンスの動きが活発化する,その際のキーは情報技術とデータベースマーケティングなどの経営管理技術をどう組み合わせるかにあるということであった。

長い平成不況のトンネルを抜け出し,明るい雰囲気で新世紀を迎えることが出来たが,保険業界はこれからも全体としては厳しい局面が続きそうである。パートナーには前向きに検討する旨メールを送ろう。