成人式というと冠婚葬祭の冠にあたる。昔から家庭でまたは地域で大切にされてきた行事である。数年前からこの成人式が式として成り立たなくなってきている。

 成人式が始まっても、式場に入場しようとしないし、式典が始まって演壇にいろいろな人が立って講演しても、いっこうに自分たちの話をやめようとしない。あるいは式典を意識的に妨害する人間もいるみたいである。

 昔から成人式が重要だと思っていない人間はたくさんいる。むしろ、大人の社会に入り既存の価値観を受け入れること(スーツや振り袖を着ること等)に反発を覚える人間は昔の方がはるかに多かったはずである。

 昔は成人式を重要と思わなかった人間は成人式に出席していなかったはずである。最近の成人式の風景を見てみると、茶発でピアスをしていても振り袖を着て成人式に出席しているのを見る。

 今は大人が自分のために準備してくれることの対しては無批判に受け入れるため、成人式に出席することに何も疑問をももたない。成人式には出席するが、自分以外のことを考えることはできないから、必然的に今のような成人式の形になるわけである。今の成人式は単なる同窓会になっている。同窓会であるから式典なんかどうでも良い。成人になったかどうかそんなことも問題にしていない。大人が設定した集団同窓会にただ出ているだけである。

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