1997年から戦後最悪といわれる不況が続いている。大企業でも倒産やリストラで多くの人が苦しんでいる。1973年にはオイルショックがあり、やはり戦後最悪といわれた。どちらとも不況には違いないが、1973年はインフレによるもの1997年からのものはデフレと呼ばれている。

 同じ不況ではあるが、子供たちに与える影響はかなり違っている。1973年当時私はまだ小学生だったが、紙がなくなるというのでスーパーに行列したものである。物価はどんどん上がり、今まで買えていた物が同じ小遣いでは買えなくなってしまった。子供ながらに、日本の行く末を心配したものである。

 現在はどうかというと、物は豊かになり、デフレの影響で物価はむしろ低下傾向にある。子供たちの周りにある電化製品、車、コンピュータ、ゲーム等は昔に比べれば性能は格段に良くなり、値段も安く手にはいるようになった。子供たちがよく口にするジュースやお菓子の類もここ近年ほとんど値上がりをしていない。子供たちにとっては今までの小遣いで、より良い物をより安く買えるようになったわけである。社会全体がデフレの影響を受け苦しんでいても、子供達自身にとっては何も困ることもないし、将来に対する不安も持つはずがない。

 一方親の方は子供たちに弱いところは見せないように頑張るので、親は相当苦労しているにもかかわらず、子供たちは自分たちが直接困っていないので、不況による深刻な状況がなかなか子供たちには伝わらない。子供たちに苦労しているところは見せたくないと言うのが親心ではあるのは当然のことだが、厳しい社会の現実を教えていくのもまた親心ではないだろうか。

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