九州の工業高校では、卒業後、就職または進学ししている。はじめから就職も進学も希望しないまま卒業する生徒はわずかである。東京あたりの高校では、就職も進学も希望しないで卒業する生徒が50%以上に達するところもあるという。

 大学の卒業生も同じような傾向がみられる。大学の就職率がだいたい80%から90%程度だといわれているが、この中には就職を希望していない学生の数は含まれていない。はじめから就職を希望しない学生は4人に1人くらいはいるようである。要するに、はじめから75%の学生しか就職を希望せず、その75%のうちの8割から9割程度しか就職していないような状況である。さらに、大学の卒業生の中には進学(大学院)や留学するものもいるので、卒業者全体の中で実際に就職するのは半分程度、またはそれ以下であると予測される。企業の方でも、以前であれば、大学院に進学や海外留学は評価されていたが、今では就職浪人の隠れ蓑のように思われている場合もある。

 就職しない理由は「自分にあった仕事ではないから」、「自分に何が向いているかわからないから」、「とりあえずフリーターでもしてみる」など自己中心的なものが大半である。本来仕事が自分に向いているかどうか働いてみなければわからないことであるし、まして「やりがい」は自分で働きながら見つけていくものである。

 バブル期に幼少期を過ごし、小さい頃から何でも与えられ続けた世代がちょうど就職を迎えようとしている。就職も自分から未知の世界に飛び込んでいこうとせず、「自分に向いているやりがいのある仕事」を与えられるまで待ち続けている者が多いのではないだろうか。

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