不況の続く日本では「リストラ」という言葉が新聞紙上で、あるいはニュースなどのテレビ場組に登場する。リストラとは本来英語のrestructuring、すなわち再構築という意味である。本来であれば、システムを作り直して生まれ変わる明るいイメージとともに使われる単語である。

 リストラという言葉にもいくつか意味が含まれていて、本来の再構築の意味で使われることもあるが、「6000人リストラ」とか「リストラされた人」という風に、解雇の意味で使われていることが少なくない。なぜ、「6000人解雇」とか「解雇された」と報道しないのであろうか

 マスコミは悪いイメージを持つものに対して従来の言葉を使わずに、表現を和らげて(あるいはごまかして)報道している。売春を「援助交際」暴行や殺人を「オヤジ狩り」と表現してみたり、「商工ローン」に至っては単なる高利貸しである。

 露骨な表現を避けるのはわからないことではないが、もう少し言葉の持つ重みを大切にした方がよいのではないだろうか。犯罪にまで曖昧な言葉を持ち出して、報道する必要があるのだろうか?「援助交際に」しろ「オヤジ狩り」にしろ子供たちは、ことの重大さをあまり理解できないものもきっといると思われる。「援助交際」は犯罪ではないと思っている子供たちもたくさんいる。なぜ、「売春」と報じないのだろうか?マスコミのモラルが問われている。

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