教育現場に民間人(要するに教育の素人)を登用して、教育現場を活性化しようとする意見が数多く存在する。一般社会で成功したというだけで、教育現場で成功するのであろうか?

 教壇に立って、30人〜40人の生徒と向かって授業することは生やさしいものではない。自分の好きなことには熱中するが、嫌いなことには何の反応も示さない生徒もいる。学校は嫌いでたまらないのに、親が無理矢理行かせているケースも少なくない。学校によっては、授業中に携帯電話をかけたり、机から突然立ち上がり、教室から出ていくような生徒もいるらしい。

 教壇に立たない人は、単なる理想だけで教育を考えがちである。自分が教壇に立って指導することがないので、どんなことでもいえる。「生徒を理解していないから授業が成立しない」とか「生徒の興味関心を引き出せないから教師に問題がある」とか「公務員で親方日の丸である」等の意見が聞かれる。企業社会では利益追求を前提とした競争社会である。教育現場で「民間人を登用すれば、教育現場が活性化する」とあまりにも安易に思っている人が多いのではないだろうか?

 道ばたでタバコを吸っている生徒や、シンナーを吸っている生徒を注意、指導できる民間人はどれだけいるだろうか?空き缶やお菓子を草むらに投げ捨ている生徒を指導できる人はいるだろうか?授業中にジュースを飲んだり、携帯電話をかけたりしても、他人に迷惑をかけていないから、悪いことではないと思っている生徒も多い。

 生徒を商品化し競争をあおるような企業原理は教育現場にははなじまない。一部の進学校や私塾は生徒を商品化し、有名大学に合格する延べ人数を競っている学校も存在する。そんな学校ではさらに、教師が競争意識をあおるのも効果があるかもしれない。机にちゃんと座らない、教師に暴言を吐く、あるいは通学途中にタバコを吸っているような生徒を民間からきた教師がちゃんと指導できるのだろうか?

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