「ムカつく」とか「切れる」とか言う言葉がマスコミに登場することが多くなった。それ以前は「プッツンする」という言葉が使われていた。

 現代社会は若者達により多くのストレスを与えるようになったのであろうか?幼稚園から始まる「受験戦争」、数多くの習い事。小学生でさえストレスを感じ、休みの日は「家でゆっくりしたい」と思っている者もいる。

 「おしん」の世界ではないが、戦後間もない頃までは、家事にしろ農作業にしろ重労働であった。食べ物も十分にはなく、栄養失調の子供もいた。子供達は今よりも膨大なストレスを受けていたはずである。それでも、みんな生きていくのに一生懸命であった。ストレスなんて感じている余裕が無かった。

 現在、すぐ怒り出す子供達の原因をストレスだと考えている人が多いが、どの時代でもストレスはあるはずである。子供達がストレスに耐える力が弱くなっているだけである。ストレスに耐えなくて良いように子供達を育てているのである。失敗しないように!苦労しないように!と子供達がストレスを感じる以前に、大人達が子供達を守ってしまう。その結果、受験などのごく小さなストレスが子供達の中では大きく感じてしまうのである。

 貧困、親の離婚、親や兄弟や友達の死、単身赴任や引っ越し。子供達には自分の力で解決することができないストレスがたくさんある。小さな心の中で、そのようなストレスを乗り越え、一生懸命生きている子供もたくさんいる。受験ならやめてしまえば、ストレスから解放されるが、自分の努力では解放されないストレスの方が圧倒的に多いはずである。

 子供達が「切れる」ようになったのは、子供達が大きなストレスを受けているのではない。ごく小さなストレスを大きなものだと思いこんでいるだけである。

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