自分の子供が2歳の時に「かきてー」「とりてー」言われたことがある。何のことであるか分かるだろうか?「書いてー」「取ってー」のことである。何のつながりがあるのだろうと思う方も多いかもしれない。「書いて」というのは「書きて」、「取って」というのは「取りて」というものがそれぞれ音便変化したものである。

 「いりたい」と言われて、分からなかったこともある。これは「いる」という動詞に、願望を表す「〜たい」というのを重ねて使っているようである。ちゃんと動詞は連用形につながっているし、文法上間違いは無いように思ったので、国語の教師に尋ねてみたが、使い方は正しいのであるが、「いる」という動詞の中にすでに願望の意図が現れているので、二重に表現するのはおかしいのでは?と言う回答が戻ってきた。

 最近使った日本語の中に(高いところにいる自分を)「降りらせて」と言っていた。もちろん正しい日本語は「降ろして」である。自動詞と他動詞の混用というべきか?「降ろして」という他動詞を使う変わりに、「降りる」という自動詞を使役のように使っている。

 子供は文法なんか関係なく、自然に言葉を習得するといわれている。小さな子供達を見ていると文法も一生懸命覚えているのが分かる。子供達も一生懸命文法を修得して、その文法の知識をフルに使って自分を表現しているのである。子供達の使う日本語を聞いていると、おかしな表現もあるが、振り返ってみるとどこがおかしいのか説明できないような日本語を使ったりもする。子供達と話をしていて、自分の日本語の能力が試されているような気もする。

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