2001年9月11日、衝撃のニュースが世界中を駆け抜けた。世界貿易センタービルとペンタゴンに旅客機ごと体当たりする同時多発テロだった。

 アメリカの衝撃は計り知れないものがあり、真珠湾攻撃にたとえられたり、自爆テロは神風特攻隊にたとえられたりした。ブッシュ大統領は21世紀最初の戦争だと述べた。有史以来アメリカ合衆国本土が戦場になったことはない。本土を荒らされたことが無いことがアメリカ人の誇りであり、アメリカの反映が築かれたのも戦禍に荒らされることが無かったからである。

 事件後、アメリカの国旗を持った人々がアメリカ国歌を歌う場面がたくさん見られた。復興を誓う強い決意とアメリカ人としての団結を象徴しているのであろう。

 日本の方に目を移せば、テロに立ち向かう決意は評価できる。この機に乗じて自衛隊法を改正しようとか、武器使用の制限を緩和しようとか、挙げ句の果てには集団的自衛権を認めてしまおうとかいう動きはいかがなものであろうか?事件が起こって騒ぎ立てるのは滑稽なことである。

 戦後、憲法について1章(天皇)と2章(平和主義)について議論することはタブーであった。特に自衛隊についてはアメリカの意向もあり、ずいぶんと解釈によってその意義が変わってきた。事件が起こってからその場しのぎで法律を変えるのではなく、本当の有事を想定した法整備も必要である。何かの事件を利用して、感情的法整備を進めるより、ちゃんと議論を重ねて21世紀の安全保障を議論すべきである。

 アメリカと日本では、国旗国歌に対する考え方感情は全く違うが、仮に日本で同様の事件があり、日本人が日の丸を手に君が代を歌いながら団結を誓う場面を想像すると、世界中の人々はどう思うであろうか?

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