平成13年度(2002年度)の高校生の就職状況は史上最悪のものとなった。氷河期とか超氷河期とよばれて久しいが、ワースト記録を更新してしまった。リストラによって失業した人、就職しようと思ってできなかった人、はじめから就職をあきらめた人、世間では失業者があふれかえっている。

 バブル期まではとにかく勉強して難易度の高い大学に入学することが「幸せのカード」であると信じられてきた。中学校も高校も進路指導と言えば進学指導を指す場合が多かった。バブル崩壊後は「幸せのカード」をもったものでも会社が倒産したり、リストラの対象になったりしている。「幸せのカード」だと思われていたものは幻想に過ぎなかった

 多くの高校生は「幸せのカード」を与えてもらうことを待っている。難易度の高い大学へ進むべきなのか、工学部や医学部へ進み専門的な技術を身につけるべきなのか、看護士・リハビリ・美容師・調理師などの資格を取れる専門学校へ行くべきなのか、それとも高卒で就職するべきなのか?選ぶべきカードはいくらでもある。

 どのカードを選んでもずっと幸せであり続けられるかはかなり疑問である。大人も自信をもって「幸せのカード」を子供達に示すことはできなくなった。昔は貧富の差も大きく、家の事情によって選ぶカードは限られていた。就職をせざるを得ない人、自分でアルバイトを続けながら進学する人、金銭の心配なく進学できる人、自分の道はある程度決められていた。現在はほとんどの生徒が多種多様なカードを選ぶことができる。本来いろいろなカードを選べることは幸せなことであるが、18歳でどのカードを選ぶかを考えるのは酷なことである。いろいろなカードを選べることは幸せなことであるが、そのカードが将来にわたってずっと「幸せのカード」であり続けることができるのかは誰にも分からない

 

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