バブルの頃からか、家庭的なドラマが消え、恋愛ドラマに三角関係やストーカーものや妙にドロドロとした人間関係を描いたものが多いように感じる。もちろん視聴者の目も肥えてきて、普段の生活と同じようなドラマを、求めていないことも原因であるとは思われる。

 普通に就職し、普通に結婚し、子供を育てるという、一般的な家庭の生活を送ることは、つまらない人生を送ることと同じように宣伝されているような気がする。高校生もただ、就職してお金を得るだけではダメで、自己実現を目指さなければならない。自分の能力を生かさずにただ就職するのは、自分の人生を無駄にしているように感じる子も多いし、女性が子供を産み育てていくことが、子どもに自由を奪われているかのように感じている子も多い。

 日本がまだ貧しかった頃、自分の進路は限られていた。その家庭の置かれている状況の中で、進学したり就職したり、家業を継いだりしていた。選択の余地は少なかったが、悩むことも少なかったはずである。「自己実現」やら「自分の適性」なども考える必要はなかった。今の高校生は選択の幅は増えたが、「自己実現」を目指したり、自分の適性を最大限に生かさなければならないと、思いこまされているのではないだろうか?

 普通に働き、普通の家庭があり、子ども達を産み、育てていくことがどれほどすばらしいことか?もう一度考えてみる必要があるのではないだろうか?

 

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