2002年度より、学校現場において完全週休2日制がスタートした。同時に新しい学習指導要領に基づいた教育が始まることになった。

 文部科学省は「ゆとり教育」を旗印に、「個性の尊重」、「生涯教育」、「生きる力」などをキーワードとして新しい学習指導要領にそった、教える内容を3割削減した授業をするように指導してきた。一方では産業界を中心に新しい指導要領では、今の日本の技術力を支える人間は育たないと心配している

 報道によれば、福岡県内の110校の高校のうち土曜日何らかの形で課外授業や補習授業を実施する学校が80校ほどあるという。多くの学校では土曜日に実施していた授業は、平日の7時限目に移動されていて、授業時数は減っていないと聞く。週休2日制を導入することによって、ゆとりが生まれるのではなく、かえって負担が増える結果となっている。

 今回の学習指導要領の導入と週休2日制の移行は、明らかに準備不足であったことは否めない。週休2日制で国際競争力が落ちるというのであれば、もうずいぶん昔から学校で週休2日制を実施している欧米諸国は国際競争力が全くないことになってしまう。週休2日だから学力が落ちるのではなく、学習指導要領の内容をみんな心配しているのである。入試科目などの狭い範疇で考えるのではなく、21世紀のグローバル社会で通用する人間を育成するための戦略を考え直すべきである。

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