日本は戦後欧米に追いつけ、追い越せを合い言葉に賢明に頑張ってきて経済大国と言われるようになった。所得水準も上がり、ほとんどのものが高校に進学し、またその半数以上が専門学校や大学に進学するようになった。貧困にあえいでいる人もほとんどいなくなった。50年前には考えられないほど豊かな社会になったのである

 豊かになったにもかかわらず、日本の将来は暗いことばかりが語られている。マスコミは将来を悲観させるようなことばかり報道し、政治はそれに対する有効な答えを見つけられないまま、将来の不安だけが国民の間に蔓延している。

 これ以上豊かである必要があるのであろうか?高齢化社会の到来で福祉にお金がかかるのであれば、北欧のように高福祉高負担の制度にするのも一つの方法であろう。今の問題は何のビジョンもなく、将来は破綻することが分かっている制度を、何とか先送りしてどうしようもなくなるまで待っているので、将来の不安がつきまとうので安心してお金を使うことができない。

 デフレで物が売れないということも、物質的には満ち足りていることの裏返しである。今の生活が基本的に豊かであるということを再認識し、将来予想される問題を先送りするのではなく、必要な負担が生じるのであれば、その負担が増えることも将来にわたって提示すべきである。国民は将来の予想が立てられるので、安心してお金を使うこともできるし、破綻してしまいそうな制度に対する不信感もなくなるであろう

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