民主党は役所の局長を民間から導入することをマニフェストに掲げている。多分、役所は既得検疫のみを考え、コスト意識が低く、親方日の丸的な体質があるので、民間の人間を導入すればそういう意識が改まると思っているのであろう。

 本来、役所がやることは民間がやっても採算が取れないか、あるいは採算を取る見込みが立たないものである。防衛・警察・救急・消防をはじめ、各種行政サービス、教育行政にしても安くて良質な教育が受けられるから、存在しているわけである。郵便事業のように民間と競合する部分もあるが、民間で採算がとれるのであれば民間業者がどんどん参入するはずである。

 そもそも民間と公務では全く考え方が違う。企業においては利潤の追求が最大の目標となるが、公務員は国民全体の奉仕者であり、利潤追求が許されない。公務員は仕事をしていない人が多いと思われているが、全体で言えば少数である。学校現場でも、部活動等で朝早くから夜遅くまで、土曜日も日曜日も働いてもいる人もたくさんいる。教職員の場合時間外に働いても基本的に無給である。わずかな手当が出る場合もあるが、それでも弁当代にもならない。

 全く考え方の違うところに、最高権力者だけを変えてもうまくいくことはほとんどないであろう。ただトップを変えても人脈もなく、公務員を動かすノウハウもなければどうなるのであろうか?日本の民間企業でもトップを代えればうまくいくのであろうか?日産自動車のように外国からCEOを招いて劇的に再生した企業もあるが少数である。建設会社や銀行や商社など多くの企業で経営者が他の企業から迎えられたが、劇的に再生することが出来たであろうか?

 少し前のことになるが、広島の小学校で民間から登用した校長が自殺した事件があった。報道などでは本当の原因はわからないが、学校現場という小さな組織の責任者でさえ、死ぬほどの苦しみを味わったに違いない。まして大きな組織であればあるほど大きな軋轢が生まれるのではないだろうか?民間から人材を登用することは良いことだと思う。その場合は、いきなりトップを採用せずに、ナンバー2の地位か一般職員として採用すべきである。

 

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