昔から日本では隣組を中心としたムラ社会を形成してきた。戦後になっても自治会や企業や学校などのつながりが、ムラの代わりを果たしてきた。自分のまわりには気心の知れた仲間がいて、それが日本の治安の維持に大きな役割を果たしてきたのは間違いない。

 自治会は高齢化や新しく住人となった者とのトラブルなどを抱えたり、自治会へ入ることを拒否する人々も多いと聞く。企業においても、厳しい国際競争力を付ける為に、福利厚生の施設の処分や社宅などの整理などコスト削減に精一杯で昔のようなムラの役割を果たすことが難しくなってきている。

 学校においても、地域の小中学校を中心に同じ学区の児童生徒は同じ学校に行くので、その親を中心にネットワークが形成されてきた。その学校においても、私立学校へ入学する者が増え、公立の小中学校も学校を選ぶ時代になってきて、同じ地区にいても違う学校へ入学する地域も出始めてきている。ここにおいてもまたムラが消えつつある

 ムラが崩壊した中で、子供達が成長することは決して望ましいことではない。他の子供達と遊ぶ機会も少なくなり、学校以外では少数の大人達と接する機会しかなくなってしまう。子供達が新しい環境になじめず不登校になったり、対人関係でうまくいかなくなるのもこのことが大きな原因だとも考えられる。生協やサークル活動など新しいムラの役割も出てきているがあまり大きな活動とはなっていない。21世紀の新しいムラを創出することが、新しい未来を創出することだと思われる。

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