イザヤ・ベンダサンこと山本七平氏はその著書「日本人とユダヤ人」で、日本の「安全と水はただ」と書いている。多くの日本人がその言葉に共感してきた。

 2000年12月に東京都世田谷で一家4人が惨殺されたり、池田小学校では幼い子供達が犠牲になった。先日福岡では、小学生の背中にガソリンをかけて火をつける事件があり、さらに2003年6月20日には世田谷と同じように一家4人が惨殺される事件が起きている。

 日本では「安全と水はただ」と思われているくらい治安の良い国で、犯罪を引き起こしてもすぐに検挙されるので、犯罪は割に合わないものだと信じられてきた。ところが、犯罪検挙率はどんどん下がり、凶悪事件の犯人が捕まらなかったり、捕まっても全然反省していなかったり、まじめに生きている人の方が割に合わない気持ちになっている人もいるのではないだろうか?

 地域社会の崩壊、長引く不況、犯罪検挙率の低下、交番の再編など原因はいろいろ考えられる。治安回復のためには、警察力の強化が一番に考えられるが、それだけでは犯罪は防ぐことができない。報道機関も単に事件を報道するのにとどまらず、犯人を検挙する為の情報番組を提供したり、この異常事態が続かないように世論を形成して欲しいものである。家庭や学校や地域においても、犯罪を未然に防ぐための新しい協力体制を構築しなければならない。もう一度「安全と水はただ」という安心感を得ることが、21世紀の日本の発展の為には一番重要なことであると思われる・

 

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