2003年末、年金改正が議論され妥協の産物として負担率が18.5%になることが決定した。抜本的改正にはほど遠く、何とか帳尻を合わせただけの改革である。

 一方で将来の年金財源を安定化させるために、女性の労働力を活用すべきだという意見もある。確かに、女性の就職機会が増えることは大いにけっこうである。ただ、一つ間違えると子育てをしている家庭に更に負担を強いることとなる。その結果、少子化は更に進み、更に改正が必要になることは目に見えている。

 今の税制にしろ、年金にしろ、働かない者が一番優遇されている。現役を引退した世代や、フリータなどに一番優しい仕組みになっている。働かずに収入がなければ、所得税は払わなくていいし、年金も掛け金を払っていない人がたくさんいる。一生懸命働く者からお金をむしり取るような制度は、無理があるように思われる。

 現行の制度で無理があるのは、次の世代の納税者を育てている者が経済的にも精神的にも負担が多いのに比べ、子どもを持っていない人が結果的に優遇されていることである。現役世代の給料はどんどん下がっているのに、いま年金をもらっている人はほとんど額が減っていない。物価はどんどん下がって生活はしやすくなったが、子どもの教育費はどんどん上がっている。企業の方も配偶者手当や、扶養手当を支給しないところも増えている。これでは官民が共同して家庭を壊しているのではないか?もっと暖かく、安心して子ども達が成長できる家庭を支える税制や、年金制度が求められている。そうすれば少子化も少しはくい止められると思われる。

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