アテネオリンピックがそのオリンピック発祥の地で、17日間にわたる熱き戦いが繰り広げられた。日本チームの大活躍で、東京オリンピック以来の金メダル16個を獲得し、メダル総数では史上最多となった。

 日本選手団16個目の金メダルが確定したのは、ハンマー投げの室伏選手であった。アヌシュ選手がドーピングの疑いにより、失格となり金メダルを剥奪され、室伏選手が繰り上げの金メダルを獲得した。

 薬物を制限することは、第一には選手の健康を守るためである。第二に制限を緩めたり、なくしてしまえば、安易に薬物を利用して筋肉を増強したり、持久力を高める薬に頼ることになるであろう。安易に薬物に頼るようになれば、オリンピックの場は薬物の効果の発表会になるかもしれない。

 陸上や水泳などの個人種目では、科学的なトレーニングが重視されている。栄養管理はもちろん、平地にいながら低酸素トレーニングができるようになったり、心拍数や肺活量や血中のヘモグロビン数まで計算され、その個人に合わせたトレーニングが行われている。

 薬を使わずとも、科学的なトレーニングにより個人の肉体は究極まで鍛え上げられている。昔のように個人の努力と鍛錬だけではオリンピックも勝てなくなっている。メダルの獲得数もアメリカ・ロシア・中国などの大国やヨーロッパ諸国などの国々が多く、発展途上国は少ない。

 近代オリンピックの創設者クーベルタン男爵の「参加することに意義がある」言葉はあまりにも有名である。勝つことにこだわりすぎるあまり、選手の健康が犠牲になってはならない。

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