ライブドアとフジテレビの買収合戦はソフトバンクインベストメントの貸し株により、いかにも日本的な形での和解をした。金だけですべてを支配しようとする、ホリエモン流のやり方も、結局は日本的な手打ちとなった。結果的にはライブドアの株価は激減し、リーマンブラザーズが利益を上げ、日本の株主が損をさせられた形になっているのではないだろうか?

 ライブドアが果たした意義は確かに大きい。利益のみを優先する外資から日本の企業がねらわれるというリスクを表にしたことは確かに意義があるようにも思われる。一方で、日本の企業をただ、資本主義の論理のみで、買収したところで、社員をはじめ取引先からもそっぽを向かれれば、何もうまくいくことはないことが明らかにされた。

 日本の社会において、ホリエモンの言うとおりに、お金だけを優先させる拝金主義のような考え方がまかり通るのであれば、日本の学校教育など根本から考え直さなければならない。日本の学校で、生き馬の目を抜いても、とにかく金だけが大切だと教え込むような教育は、どこにおいてもされていない。それよりも人の心の分かる、温かい思いやりを育めるように教育していくことが通常である。

 社会においてお金で何とでもなるとするならば、教育現場でも、つまずいた同級生に手をさしのべるよりも、自分のことを優先させた方がいいことになる。日本では本来、つまずいたも者にも温かく手をさしのべて、持ちつ持たれつ、お互いの長所をのばしつつ、短所をカバーしつつ、みんなで目標を達成するために頑張ってきたはずである。

 グローバル化が進む中で、確かに日本の資本主義もグローバルスタンダードを受け入れて行かなくてはならない。企業の防衛も確かに必要であるし、法整備も必要である。一方で日本的な良さや、文化を捨てて無理にグローバル化を進めても決してうまくいかないであろう。日本が現地生産を進めてきた時には、現地の文化に合わせた日本的経営を進めることで、国際的な地位を得てきたはずである。今度は逆に、日本的な良さを活かしつつ、グローバルスタンダードを進めることが求められる時代になってきたのである。

 

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