子ども達が進路を決定する場合に、多くの親は「子供のやりたいことをさせたい」と言う。その夢を叶えるための専門学校も数多く存在する。アナウンサー・声優・アニメーター・ダンサー・歌手・ギタープレーヤー・ドラマー・ペットトリマー・Jリーグ選手などになりたいコースを持つ、多種多様な専門学校がある。

 本来、仕事とは自分の能力や適性を社会に貢献させることでお金を稼ぐことである。人があまりやりたがらない仕事ほど、給料が高くなるのが当たり前である。逆にやりたいことを優先させれば、安い給料で働かなくてはならなくなる。アニメーターやアシスタントディレクター、吉本興業の芸人など非常に過酷な労働条件で働いている現実がある。

 芸能人やJリーガーなどとても簡単にはなれないと思われがちであるが、当の本人はかなりまじめになれると思いこんでいる。しかもこのような専門学校があるため、自分で道を見つけて努力するよりも、まず専門学校に行って、まじめに努力すればどうにかなると思いこんでいるようである。

 夢は大切なことであるが、夢を見れば見るほど現実から離れ、就職出来なくなる。夢を実現させるためどれほど多くの者がフリーターになっていることか?フリーターならまだ良い、社会性が無くなって「引きこもり」になる者もいる。自分のやりたいことだけをやるのであれば、ボランティアの方が現実的である。

 お金を稼ぐことと、自分の「やりたい」ことが混同されている。自分のやりたいことで収入を上げている者はほんのわずかである。誰もが夢を見ながら、成長の過程で現実を見て、社会生活の中で軌道修正しながら自分の仕事を見つけている。子ども達に「夢」を見せることも確かに大切なことであるが、きちんと自立し、自分で生活する力を付けさせる方がより大切である。子ども達が「夢」を見続ける限り、大人になることができない。

 

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