円安の追い風を受けて、上場企業の多くが史上最高益を上げている。トヨタが上半期で史上最高益を更新すると言う報道は記憶に新しい。自動車をはじめとした機械系の会社だけでなく、ソニーやパナソニックなどの電気系の会社、ヤマダ電器などの小売り各社も、中国からの爆買いの影響か?利益を伸ばす企業が増えている。

 これらの企業の中でもフォルクスワーゲンやエアーバックメーカーのタカタや東芝などはその不正の問題の後始末に追われ、大幅な赤字決算となっている。タカタに至っては、ほとんどのメーカーからそっぽを向かれ、企業存続の危機になっている企業もある。不正が割に合わないことを証明している。

 一方で法人税はさらに税率が下がるほか、2016年には消費税が10%に引き上げられる予定である。企業の利益はどこに行っているのであろう?一部の投資家や海外の投資会社に流れているのであろうか?確かに配当に回っている割合は増えているが、投資家のみが潤っているとは言い難い。

 企業が伸びているにもかかわらず、正社員の雇用もそれほど増えず、人口が増加しない国内への投資も二の足を踏んでいる。国内では18歳人口が減少し、近い将来深刻な人手不足が予想される。企業の利益が労働者にも回らず、投資家にも回らず、将来の不安に備え内部留保だけが膨らんでいく....そんな消極的な企業の姿勢が多く見られるようになった。

 企業は確かに利益追求が目的であるが、その利益を自分の会社内部にため込み、従業員も投資家も潤っていかない.....そんなことを続ければ早晩企業も信頼を失い、存続出来なくなるであろう。20世紀初めフォードは、流れ作業を導入し劇的に車の値段を下げ、利益が爆発で気に増えた。その利益で自社の車が買えるくらいに従業員の給与水準を引き上げることで、モータリゼーションが普及した。

 日本の企業も十分な利益を享受したら、次に社会的な役割を果たすことを考え、社会的な役割を果たすことで、さらに企業の発展の道を考える時期にさしかかっている。

 

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