昨年12月頃から原油が暴落している。7月頃には1バレル100ドルを超えていた原油が50ドルくらいに値下がりしている。原因はシェール革命だと言われている。アメリカ合衆国でシェールオイルが安価に採掘され、OPECが価格の安定よりも、シェアの維持に動いたためだとも言われている。

 アベノミックスで円安に苦しんでいた?日本にとっては願ってもないチャンスとなった。原油高、円安のダブルパンチでコスト高に苦しんでいた日本経済は、エネルギーが安くなると、コスト的にずいぶん楽になるはずである。震災以降、原発の代わりに膨大な石油や天然ガスが輸入され、それが経常赤字のひとつの原因となっていた。

 加えて円安が安定?してきたため、工場の国内回帰の動きもある。電器メーカーは、高額の商品に限っていた国内工場での製造が、中国の人件費高騰などの影響もあり、国内工場で採算が捕れるようになり、今後国内回帰が加速するという情報もある。企業の利益が、労働者等の一般国民まで還元され、購買力が高まることこそ、デフレ脱却の王道である。

 一方で今年の経済状況は。1998年アジア、ロシアの通貨危機の状況と似ているという人もいる。当時、ルーブルは暴落し、韓国をはじめとするアジア諸国は通貨危機に見舞われ、IMFの支援でどうにか立ち直った国もある。原油安の影響でルーブルの価値も暴落し、日本製品を追い落とす勢いであった韓国の製品も中国からの猛追を受け、厳しい状況にある。ヨーロッパも揺れている。ギリシアがユーロを離脱するのか?フランスやドイツでさえ、ユーロに懐疑的である。ユーロが揺らげば、世界中に危機が広がる。

 いろいろな意味で、2015年は経済が大きく動きそうな年である。大きな動きは原油安であるが、原油安でロシアやベネズエラなどの産油国が危機に陥るという悲観論もある。ただ、これらの国は今までの原油高に胡座をかいてきたと言う一面もある。世界的に見れば原油安が一方的に良いわけではない。しかし、この問題もゼロサム社会であるので、原油安で潤う国と苦しむ国があるのは当然である。原油安が世界経済にどう影響を与えるのか?目を離せない年になりそうである。

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