教育にはお金がかかるからと、教育予算を減額しようとする動きがある。教員養成系や人文科学系など、実学ではない大学の学科を再編し、実学系の学部を充実させればまだ良いのであるが、その予算を削ろうとする動きさえある。

 今年も日本人がノーベル賞を受賞した。ノーベル物理学賞はカミオカンデの観測により、ニュートリノの重さを証明したことでノーベル賞を受賞した。現在、最先端の物理学は実験しようとすれば、60kmくらいの加速器を使った実験や、カミオカンデの様な装置を使った実験は個人やひとつの大学でやれる規模のものではない。まさに国家プロジェクトである。一方で、実学からはほど遠くなっている。ニュートリノに重さがあったとしても、我々の生活が変わるかと言えば、何も変わらないであろう。

 大学は研究機関で必ずしも、実学のみを研究するべきではない。実学とはほど遠い地道な研究が将来無限の可能性を秘めて戻ってくるようなものである。予算の面から教員養成系の学部をつぶしたり、定員を減らすのは言語道断である。

 昔から資源も乏しく、人口が多く、国土も狭い。この日本を発展させてきたのは日本国民の頭脳である。その頭脳を育てることをおろそかにして、企業の減税ばかり唱えることは愚策と言う他はない。どれだけ企業が発展しても国民が豊かにならなければ国家が豊かになるはずがない。国家が豊かになるためには、豊かな国民が必要である。そのために豊かな教育が必要なことは当たり前のことである。

 

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