東京オリンピックのメイン会場である国立競技場の県瀬悦問題が迷走を続け、ついに白紙撤回となった。建設費が2500億円以上かかるにもかかわらず、その費用の多くは国民の税金に頼らなければならないと言うお粗末な計画だった。

 問題なのは、2500億円も描けて建設するにもかかわらず、国民の税金を使って、誰も責任を取ろうとしないことである。国会では民主党政権時代に基本設計案を決定したと主張する場面もあった。責任転嫁も甚だしい。問題は国立競技場を建設するには費用がかかりすぎることであり、採算が捕れないのであれば、白紙に戻すのもまた政治の責任である。自分で決めたものではないから、責任はないと言う主張は、当事者能力がないことをピーアールしているようなものである。

 桝添東京都知事が言うように、文部科学省主導でこの問題を扱ってきたのであれば、文部科学省が責任を持って全てやり通さなければならない。この問題の難しさは、誰が最終責任者か全く分からないし、誰も責任を取っていない。またこれから責任をつもりもないのであろう。

 昭和の時代にハコモノ行政がどんどん押し進められ、採算の捕れない体育館や競技場や文化施設、行政主体のテーマパークもあった。補助金目当ての地元の業者を潤わせるだけのものだったため、建設費からすれば破格の値段で民間に払い下げられた。買い手がつかずに解体された施設もある。

 オリンピックも東京、札幌、長野に引き続き4回目のオリンピックとなる。高度経済成長期のように、何でもどんどん作れば良いというわけではない。環境や採算にも十分配慮して、開催、運営を図らなければならない。それが21世紀に科せられたオリンピックの使命ではないだろうか?

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