とくに、私のようにレイアウトをなげしの上に作っていたりすると レイアウトの規模はそんなに大きくないのに橋から端まで磨こうと して、台(まあ私の場合は食堂の椅子なのですが)から落ちる危険性 (というか、本当に落ちかけたのです)があったりします。
また将来非常に大きなレイアウトを作ったとしたら、たとえそれが もっと低い場所にあったとしても、全体を磨くのは大変な作業になる だろうということは容易に想像できます。
最近のレイアウト指向の高まりのせいか、日本でも 16.5mm ゲージ用の レイルクリーニング車の輸入車がいろいろなところで販売されるように なってきました。 この写真の車両はヨーロッパの有名な ROCO というメーカ(最近天賞堂が 輸入代理店になったようです) の作っている ROCO Clean という作業車で NEM 規格のせいでちょっとフランジが高いのですが、16.5mm ゲージでは よく使われているレイルクリーニング車です。
今回のプロジェクトはこの ROCO Clean を HOn3-1/2 で使えるように しようというものです。
たとえばこの ROCO Clean の場合、幅が 33mm 高さが 47mm ですから、 さすがにまったく一緒とまではいかないにしても日本の車に比べてそんな におおきいというわけではありません。 まあ、この大きさで二軸貨車だというのがちょっと違和感があるかも 知れませんが、あまり変なことまで気にしていると先に進みませんから この辺はテキトーということで受け入れることにしてしまいます。
すると、今回の改造は
そこで、これら二点の改造法を順に説明していくことにしますが、改造に 必要なパーツさえ手に入れば非常に簡単な改造で終わりです。
今回の作業車では Kadee #18 という NEM-362 用で首の長さが 8.63mm を 使用しました。 これは ROCO Clean を買ったエコーモデルで薦められたものです。
もともと付いていたカプラーをはずして、この KD カプラーに変える方法は KD カプラーの説明書にかかれていますので簡単にできることと思いますが、 この説明書が英語なので念のために簡単に書いておくことにしましょう。
まず、もとのカプラーをカプラーポケットからはずします。カプラーポケットに 入っている部分は二つに割れていて、プラスティックの弾力で止まっています から、カプラーポケットの後ろに出ている部分をつまんで前へ押し戻します。
新しい KD カプラーも同じ方法で止まりますから、カプラーポケットの前から 押し込むようにします。 これで、新しいカプラーが装着できました。
これは、ピボット車輪で軸の長さが 24.8mm、車輪の直径が 10.8mm の ものです。 ちょうどこれに該当するような車輪で 12mm ゲージのものは手近には ありませんでした。 ここで、また「HOn3-1/2 はパーツが少ない」などと愚痴を言っても 始まりませんから、適当な車輪を改造することにしました。
最初に考えたのは、ごく安直に「元々ついている車輪を押し込んで ゲージを 12mm にできないか」ということだったのですが、さすがに これは安直にすぎました。 ちょっとくらい力を入れてもまったく動かないのです。
まあ、もともとフランジも高すぎるわけですし、あまり安直はいけない ということで、ほんの少しだけまじめに考えることにしました、とは 言ってもここまでで数秒の話ですけどね。
次の候補は何かと言えば、最近とかくお世話になっている
Steam Era Models の車輪です。
とは言っても、ここの HOn3-1/2 用の車輪は日本でいうところの短軸のもの
で、今回の作業には向きませんから 16.5mm ゲージ用の車輪を使うことに
なります。
というのは、ここの 16.5mm ゲージ用の車輪の軸は段付きではないので、力 を入れて押し込むと簡単にゲージが変えられるのです。 16.5mm ゲージ用の車輪には厚さが 2.7mm のもの (RP25 の #110) と、ナロー と同じ 2.2mm のもの (RP25 の #88) があり、本来ならば #88 の方を使うべき でしょうが、手持ちがなかったので #110 のもの (しかも車輪の直径が 10.5mm のものしかなかった、三種車軸の長さのうちで 25mm のもの) を使うことに しました。
ちなみに、正式な規格では HOn3-1/2 の車輪の幅は 2.2mm ではなく 2mm という ことになっていますが、あくまでこの値は最小値なのでそれ以上でも構わない のです。 気にしなくてはいけないのはフランジの幅ですが、こちらは Steam Era Models の車輪の場合きちんと規格内におさまっているようです。
話は戻って、車輪のリゲージです。元の車輪の外同士をノギスで測定すると、 20.2mm でしたから、これから 16.5mm と 12mm の差の 4.5mm を縮小して 15.7mm にすれば良いことになります。 そこで、まず車軸をラジオペンチに咥えて、片方の車輪をぐっと押し込みます。 これで外側同士を再び測定して 18mm 程度になれば、こちらの車輪はリゲージ が終わりということになります。 つぎに、同様にラジオペンチに咥えて、逆の車輪を押し込み目的の 15.7mm になるようにしてやります。
こうして、長軸の 12mm ゲージ用の車輪ができたらもとの車輪の代わりにはめ て無事改造工事は終了ということになります。 上の写真に写っているのがこの工作の終了した車輪です。
実は、12mm にすると床板の車輪を避けるために掘られている場所が足りなく て、フランジが当たり気味なのですが当面は気にしないことにしました。
この改造車を実際に私のレイアウトで走らせてみたところ、牽引および推進の どちらでも問題無く使用することができました。 しかし、ひとつだけ (大きな) 欠点があります。
それは、この車輌の抵抗があまりに大きいということなのです。 最初は車輪の改造のところに述べた、床板との干渉が原因かと思ったのですが どうもそうではなく、クリーニングパッドの抵抗が想像以上に大きいのが原因 のようです。 もう一つ考えられる理由として、当初使っていた車輪に比べて換装したものは 少し小さいので、パッドを押し付けるバネが強めになっているということも 考えられます。
どちらにしても、現在私の持っている機関車の場合とても単機では牽引できない ので、当面重連で使うしかないようです。 Steam Era Models から直径が 11mm の車輪を入手したら、これに変えてみて 抵抗が減るかどうかを確認することにしましょう。 もっとも、前から懸案の EH10 を作った方が良いかもしれませんね。
最後に使用した工具とパーツを書いておきます。
工具 ノギス ラジオペンチ パーツ Kadee #18 Steam Era Models の軸長 25mm、直径 10.5mm の車輪 (二つ)
抜いたり、はめたりするにもこの車輪はプラスティックの輪心なので簡単です。 逆に言うと、後でゲージが変わる可能性があるので瞬間接着剤か何かを付けて おいた方が良いかもしれませんね。 当然、私は何もしてませんけど...
高さの差はたった 0.29mm なのですがこれだけのことで抵抗は圧倒的に減り ました。今までは D 級の EL の重連でないと直線もあやしかったものが、こ の改造の結果直線ならば D 級 1 台で牽引できるようになりました。 うちのレイアウトでは曲線はあまりに急 (R350 ですから) なので、参考にな らないと思いますが、一応重連なら通ります。
後、「消しゴムタイプ」のレイルクリーナは拭き取りタイプよりもレイルに 悪影響を与えやすいということが良く言われていますが、今のところサウンド システムを使っていても特に差は感じられません。 これに関しては、もう少し長いチェックが必要でしょう。