病院を一歩出たところに軒を並べる薬局、いわゆる門前薬局というものがある。一方、病院から離れた住宅地や繁華街にも、医者の書いた処方箋に基づき薬を出す薬局はある。
たまたま、ある時は門前薬局に、また別の日には近所の薬局に、それぞれ処方箋を持ち込み、全く同じ薬を同じ分量だけだしてもらったとする。
保険がきくのだから、当然同じ金額が請求されるはず。だが、実際はそうでない。この4月から、薬局によって、請求される金額がまちまちなった。
薬の値段が同じでも、薬剤師が薬を出す時につく技術料の、調剤基本料が違う。
ひと月に扱う処方箋が4千枚より多いかどうか。特定の医療機関の処方箋が70%を超すかどうか。この2点から、最高45点(1点は十円換算)から20点まで、4段階の差がつけられることになった。
国の狙い通りにいかず
病院の門前で大量の処方箋をさばく薬局は、そうでない薬局の半分以下の調剤報酬しか、保険制度上受け取ることができない。
一種のペナルティーだ。だが、一定の割合で患者の自己負担があるため、患者にとっては、ペナルティーの科せられた門前薬局で薬を受け取った方が安くつく、妙なことになってしまった。
45点の薬局と20点の薬局だと、たとえば自己負担が3割の人の場合、20点薬局の方が75円安くつく。
(後略)
地方の薬卸の井上誠昌堂(武田系、本社高岡市)は、調剤薬局の在庫リスクを回避するために、富山市と福井市で、薬局向けに、少量の薬剤の宅配サービスを開始した。これもニュービジネスチャンスと思われる。