今年は制度改革論議の年になりそうである。医療保険においても介護保険においても、明平成18年には報酬制度の改定を迎えることになる。また、報酬制度ばかりではなく医療のあり方や介護のあり方とコスト負担に関しての制度改革論議も同時に進められるようである。流れは、施設入院・入所から在宅への道筋が先鋭化し、さらに予防給付が加わることになると推測されている。
そもそも保健・医療・介護・福祉といった制度そのものに区分というものは存在するのであろうか?なぜならば、これら制度は「人間」が作ったものであって、「神」が作った制度ではないからである。神が規定するとすれば「健康」か「健康ではない」かだけではないだろうか。
WHOは「健康」の定義を「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない。」としている。まさに、ここでいう「健康」のためのお世話をすることがヘルスケアということになろう。国の制度で分断されたかのように見える医療、保険、介護、福祉は本来ヘルスケアという名のもとで同根であり、いずれも健康へのあくなき追求から派生し、発展してきたものであることを忘れてはならないのである。
一人の人間の視点に立ったとき、健康を取り戻すこと、より健康に近い生活を送れるようにすることを目的とするならば、医療、保険、介護、福祉といった制度は問題ではない。本質的には、時間軸としてその病期(Stage または Phase)に応じた制度を利用していけばよいわけであり、また何時どの制度を選んでいくかということは本人にとって目的さえ実現できればどうでもいいはずなのである。したがって、私たちは敢えて制度間の垣根を取り払うことを目指し、さらには健康を中心に添えた継ぎ目のないサービスを提供していかなければならないのである。
年頭に三位一体の改革をはじめとして、今後厳しくななっていくであろう医療制度、介護保険制度、福祉制度を憂いて…。