日経産業新聞2000年7月11日朝刊

医療・バイオ・介護

介護現場もIT時代・システムは手軽さを優先

サービスの質低下を警戒


(記事の一部)

 膨大な事務作業が発生する介護保険制度。作業を効率化する切り札として情報機器を活用する企業が増えている。慣れない機器の扱いに四苦八苦し、介護サービスの質が落ちては意味がない。一般企業向けのシステムに手を加えた程度では、介護現場には受け入れられないと見て、各社は使いやすさに工夫を凝らし始めている。

 「ヘルパーにモバイルコンピューターを持たせるなんて、介護現場を知らない人の発想だ」。介護事業者や医療機関の経営を支援するライフタイムパートナーズ(東京・千代田)の村山浩社長はこう話す。「情報機器に不慣れなヘルパーに負荷がかかりすぎる」というのがその理由だ。

事務作業など代行

 同社は三菱商事の全額出資子会社で、今年5月に設立されたばかり。ヘルパーからの報告を電話で受けたり、介護保険の請求に必要な事務作業を代行したりする新サービスを特別医療法人財団の董仙会(石川県七尾市、神野正博理事長)から受託して開始した。ここが手掛ける訪問介護や訪問看護、通所介護(デイサービス)の裏方としてライフタイムパートナーズのスタッフ5人が働く。

 「Aさんは、訪問介護で身体介護を利用しました。体調はいいようです」。ヘルパーが提供したサービスの内容や高齢者の症状を電話で報告するとスタッフがパソコンに入力、サービス提供実績を管理したり、顧客ごとのメモを作ったりする。裏方が情報技術(IT)をきちんと使いこなせば、現場に情報端末は不要というのが同社の考えだ。

 一般企業の営業員がモバイルコンピューターを駆使して製品や顧客のデータを持ち歩き、営業を効率化するのは今では当たり前。しかし、介護現場を担うのは効率重視のビジネスマンではないヘルパーにはパソコンをさわったことがない中高年も多い。既存のシステムをそのまま持ち込むこと自体間違っているというわけだ。

顧客管理を効率化

 シナジー社の赤外線通信を利用したヘルパー端末の記事(本誌をご覧ください)

介護企業の参入も

 ジャパンケアサービスによるバーコード利用端末の記事(本誌をご覧ください)


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