また、昨年来の財政構造改革の一貫として、社会保障や医療費の削減が打ち出された。国民は将来のために貯蓄し、ますます消費は低迷する。ほとんど医療保険という公定価格で運営されている私ども医療機関にも大きな波が押し寄せた。この春の改訂では初めて実質的に公定価格のマイナスシーリングとなった。これは、とりもなおさず日本経済同様に右肩上がりに伸びてきた医療経済も、不況業種に突入していくことに他ならない。そのなかで、プレイイングマネージャーである医療経営者の頭の中に右肩上がりの幻影が全く消えていないということは他の企業以上に構造的危険性をはらんでいるように思われる。
しかし、日本経済全体が不況であろうが、成長産業でなくなろうが、その中で智恵を絞って業績を伸ばす元気な企業が存在するはずである。私は、医療業界も決して“特殊な”業界であるとは思っていない。確かに業種としての特徴はあるが、それはどんな業種にも存在する。そういった意味で、私の手本となるものは、医学・医療経営雑誌に掲載されている同業者の話ではなく、異業種で先端的に活躍している企業の考え方や、また一つの事件に対して物事を理解し、判断する切り口であると思っている。
貴誌は発行部数が少ないこともあってか(失礼)、大手の月刊誌、週刊誌にない切り口が特徴であり、ものの見方の多様性を提供して頂ける。今後も、ピリッとした雑誌でありつづけて頂きたいと思う。