(内容の一部)
医療は消費の性格が「積極的消費」ではなく、「やむを得ざる支出、負担」であり、その増えていく負担をどう支えていくのかというネガティブな問題があるが、2025年の医療費の対GDP比は約19%程度になるということです。今が6、7%ですから、これは大変な数字です。
つまり、2020年ないし2025年の高齢化ピーク時をにらんだ長期的な医療費を議論する段階にきており、その流れからしますと、かなりの効率化、対費用効果を考えなければならないといえるでしょう。
そこで考えたのが「本体部分と4つの周辺部分」(図)ということです。4つのうち「A高度医療」では厚生省の研究開発予算が平成6年度で700億円程度、高度先進医療は数億円レベルで、いずれにせよ1兆円未満です。「B検診・人間ドッグ等」も数千億円レベルです。「D看護・介護」の中の介護部分は1兆円強といわれており、また「Cアメニティ」のうちの食事は1兆円位です。つまり全体で25兆円の医療費のうち本体部分に使われる額が多すぎるというのが現況であり、本体部分に集中している分を周辺部分に資源配分していくことが、医療全体の対費用効果を高めていくことになるのではないかというのが考え方の趣旨です。
予防・健康増進が慢性疾患の場合に効果があるのは勿論ですし、同様のことが高度医療・研究開発にもいえます。最近は遺伝子診断のような高度技術の部分が予防・健康増進、早期発見・早期治療にもつながっています。いずれにせよこうした部分への資源配分を増やすことが医療全体の対費用効果を高めると考えられるのです。