医療経営Archives

病院経営ニューパラダイム

−21世紀における病院経営管理の展望−

石山 稔 著(あめにてぃ1996年夏号、エーザイ株式会社)より

registration date: 1996.7.19


(前略)

現在は診療報酬が変わるたびに病院は右往左往し、いかにして厚生行政に沿って有利に収入を上げていくかという点が優先し、先のことまで頭が回らないというのが実体である。だがこれは病院の「経営」ではなく、「管理」でしかない。今後は病院も本当の意味での「経営」を考えていかねばならない時代になった。

病院経営の新しい方向

病院経営の新しい方向は、最終的に「患者の満足」にある。このためには医療・看護の質はもちろんのこと、受付けから電話の応対まであらゆるサービスの場における質が問われてくる。病院のバリュー(VALUE)を生み出していくには「サービス向上」と「コスト削減」に努めなくてはならない。
しかし、ただバリューを生み出し、高めることが大事だと理解し、いざ実践しようと思っても、「サービス向上」と「コスト削減」を唱えるだけで具体的な行動にはなかなか結びつかないものである。成果をあげるためには
  1. 病院が社会的使命、設立の理念を明確に打ち出し、ミッション(MISSION)を明らかにする
  2. 職員のやる気を引き出しガッツ(GUTS)をもって仕事に取り組んでもらう
といったことが重要なのである。

病院経営の合理化

これからの病院経営の合理化、リストラは
1.業務委託→2.小会社設立→3.医・経分離
という方向へ向かうであろう(図1)。
業務委託は清掃、施設管理、検査、また最近では医療費請求までとかなり浸透してきている。これも経営合理化、リストラの一つの方法である。業務委託が進むと次の段階としては病院が子会社を作り、ハウスキーピング、清掃、院内物流、設備管理、在宅介護、クリーンエアのマネイジメント、病棟におけるサービスなど、病院の運営管理を行なうようになっていくであろう。すなわち医・経分離であり、聖路加国際病院における聖路加サービスセンターもこれを目指している。以上が「コスト削減」を目指す場合の効率的かつ企業的な病院経営の一つの方向だと考える。

(後略)

石山 稔氏:(株)聖路加サービスセンター常務取締役、日本医業コンサルタント協会、米国ヘルスコンサルタント協会会員。



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