ここで5つのキーワードが出てきます。つまり、フランチャイズ、廃業、巨大化、価格競争、本業外です。今後日本版DRGや薬価制度の改革など定額制にシフトしていく医療費抑制政策のもと、病院経営においてもそのままこの5つのキーワードが将来像として見据えるべき問題となってくるのではないでしょうか。また、自由競争となる以上、医療福祉の分野に存在する様々な補助金のカットは財政再建のなかで当然の流れであることもつけ加えたいと思います。
一方、医師の役割としては、情報公開が大きな軸になるでしょう。レセプト公開に始まって、カルテ公開、さらにICカードや地域ネットワークの構築が進むでしょう。ここには医師間、医療機関間の情報の共有化とともに医師と患者間の情報の共有化という問題があります。それに伴って、診療内容は標準化され、個々の医師の裁量権は縮小されてくるだろうと考えます。また、患者は、自分の治療を選択し、責任を持つ形となるでしょう。医師は診療データの整理をはじめ、「説明と同意」のために患者情報・医学情報をきちんと整理し、わかりやすく、しかも的確に提示する必要性が今以上に求められてくるようになるでしょう。この前提として、患者に見せる側の責任も存在しますが、見る側の責任、つまり、腹をくくる態度を患者側に要求すべきでしょうし、社会のコンセンサスの形成が必要になると思います。