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介護保険制度は「短命」
「勝者」は医療福祉の複合体

日本リハビリテーション学会シンポジウムより:日本福祉大学二木教授(日刊「Japan Medicune」平成12年6月27日号)より

registration date: 2000.7.15


  日本福祉大学社会福祉学部の二木立教授はシンポジウムに中で「介護保険は独立の制度としては短命。5-10年以内に“高齢者医療・介護保険”に統合される」との考えを改めて強調。介護保険が過渡的制度に過ぎないことが「関係者の中ではすでに常識」といいきるなど、近い将来、大幅な制度的組み替えがあると予測し、介護保険制度と施設経営、リハビリテーション医療との関連について、次のように語った。

  (医療・福祉施設に与える影響)医療法改正も含め、施設競争の激化が始まると、勝者は医療と福祉双方の機能を持った「複合体」。どちらかの単独施設は敗者になる。
  リハビリテーション医療に関しては、介護保険制度が追い風になるとはいえない面もある。在宅リハの場合は、まず利用者に支給限度額が設定されていること。また、ケアマネジャーが一定の権限をもつことでOT(作業療法士)やPT(理学療法士)の裁量権は従来より制約される。
  施設リハについては、介護保険3施設(療養型、老健、特養)がその機能を高めていく。競争激化のため、リハ機能の強化を目玉にするからだ。しかし、中長期的には3施設の一元化に伴い、全面的な定額払い方式が確立し、逆風になる。

  (診療報酬改革との関連)4月改定で「回復期リハビリテーション料」が導入されたのは画期的だが、施設基準が厳格なため算定できる施設が限られる。一方、DRG/PPS(疾患群別定額払い方式)をリハビリに導入することはなさそう。厚生省の関連組織である医療経済研究機構のレポートも「一部の病院の疾患に導入することはある」とするにとどめている。


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