医療経営Archives

療養型病床群が医療法から消える

焦点
週刊「医療タイムス」(医療タイムス社)1999年7月5日号(No.1431)より

registration date: 1999.7.12


  「療養型病床群は将来医療法からなくなる。結果として慢性期病床に収れんされる」−。3ヶ月ぶりに開催した厚生省の医療審議会総会は、第4次医療法改正に向けて意見集約の段階に入ったが、総会の席上、一般病床のあり方を見直す議論の中で、委員の質問に事務局を務める厚生省健康政策局の担当課長がフッと口にした。あっ、そうだったのか。その瞬間、会場にはそんな空気が流れたような気がする。次期医療法改正の柱となる医療供給体制の見直しは、一般病床を急性期病床と慢性期病床に区分することを主眼に置く。慢性期患者を収容する慢性期病床は、既存の制度を整理することにより実現する。具体的には療養型病床群と介護力強化病棟、それと慢性疾患患者がいる一般病床をくくり医療法で新たな制度として、慢性期患者にふさわしいサービスを提供するための慢性期病床を創設することになる。そして急性期病棟とは異なる人員配置基準、構造設備基準を設定する。重要なのは誕生する慢性期病床はイコール療養型病床群ではないということだ。

  そこで問題となるのは、療養型病床群を介護適用と医療適用に分ける議論である。療養型病床群は介護保険の指定を受けることで介護療養型医療施設として介護保険施設となる。一方、医療適応となる療養型病床群は近い将来、医療法上で制度も名称も消える。医療法で生まれた療養型病床群は医療法からは消え、結果として人員配置基準や構造設備基準をそのままに介護保険で生き残ることになる。療養型病床群を介護適用でいくのか、医療型かの選択はその意味からは論を待たない。厚生省は平成12年度の介護報酬設定と診療報酬改定で、報酬単価は介護型と医療型に大きな差はつくらない。しかしその後の改定の方向は目に見えている。介護保険で施設して医師サービスの供給量を決めていくにはそれなりの訳がある。介護療養型医療施設より慢性期病床の方に高い点数をつけるはずがない。


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