「船上のメリークリスマス」 page 1
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失神したハウスキーパーを抱えて甲板に出ると、今しもヘリポートに着陸しようとしている数機の軍用ヘリが目に入った。 「お迎えが来たようですね」 隣にいたジェフリーが、そう言って笑った。 「*さんは日本で育ったんですか?」 ヘリポートに向かう途中、不意にジェフリーが問いかけてきた。 俺が頷くと、ジェフリーは嬉しそうに言葉を続けた。 「昔、一度だけ日本に行った事があるんです その時 見た景色が忘れられなくて・・・」 「そうだ、もう見つけましたか?」 そう言って、俺が片手に持っていたPDAを指差す。 軟禁されていた俺に犯人側から与えられた携帯通信端末。 この端末の設計をしたのもジェフリーらしい。 ピンとこない俺を見て、ジェフリーは申し訳なさそうに首をすくめた。 「爆弾解体で、それどころじゃなかったですよね・・・すみません」 俺は何も映っていない液晶画面に視線を落とした。 この半日、俺と「彼」を繋いでいたPDA。 けれど、少し前から連絡が取れなくなっている事が、とても気がかりだった。