まりちゃん通信12
1995年9月9日にクアラルンプールで体験したお月見を紹介します。
この日は、《中秋の名月・お月見》。日本でも綺麗な満月だったとか。ここクアラルンプールからも、まん丸お月様が見えました。〈お月見〉の行事は、中国人文化にもあり(どっちがルーツかは知りません)、中国人のお友達のお家に招待され、楽しんできました。
日本のお月見とちょこっと違うところが、たくさんあったので紹介します。
その1 日本では、この行事を「お月見」と呼びますが、こちらでは〈Lantern(灯篭・提灯)Festival〉と呼ばれています。これはこの日の夜の行事ですが、この日の前一カ月は〈Chinese Mid-Autumn Festival〉あるいは〈Moon-cake Festival〉と呼ばれています。
その2 〈Lantern Festival〉という名の通り、たくさんのランタン(真ん中にろうそくを立てる)を飾ります。種類もたくさんあって、オーソドックスなかたちの紙製のものや、セロファンでできた魚や車など(鯉は‘成功’を、蝶は‘長寿’を意味しているそうです)から、バットマンやドラエモンといったキャラクターものまでさまざまあります。この夜、お友達の家の庭にも(通信1227で書いた家です)、たくさんのランタンがぶら下げられ、ゲートには数え切れないほどのろうそくを飾り付けて、それはそれはきれいでした。このお友達の家の回りは中国人が多く、そっちこっちの家が同じように飾り付けていてきれいでした。公園にも、近所の子供たちがランタンやろうそくをもって集まり、それぞれがジャングルジムや地面に飾り付けて、幻想的な雰囲気でした。(日本でやったら、逮捕されちゃうかもね)
その3 「月で兎が餅つきをしている」と見るのは日本人。中国人は、「月に美しい女性の横顔が映っている」と信じているそうです。そして、その女性(月に住む月人)が、一年に一度のこの満月の夜に、恋人(地球に住む地球人)に会いに地球に降りてくるのだそうです。う〜ん、ロマンチック!花見の頃は、花より団子。月見のときも、旦那より団子の私でした・・・
その4 お月見のときは、月見団子を食べる日本人。 中国人は〈Moon-cake ーいわゆる月餅〉それにちなんで〈Moon-cake Festival〉とも呼ばれ、〈中秋名餅〉(中秋名月ではない)の字がどこにでもあふれていました。種類も豊富で、白や黄緑色の皮のものや、中国風あんこに塩漬け卵の黄身がぼろんと入っているもの、蓮の実のあんこ、いろいろなナッツと豚の脂身が入ったあんこ、ドリアンのあんこまで!・・・いたる所で売られます。なぜこの時期に月餅かというのは、この月餅に秘密文書を隠して仲間とやりとりして悪い政府と戦った愛国者‘Zhu Yuan Zhang’の伝説にちなんでのことなのだそうです。
その5 最近の日本なら、テレビで「今日は十五夜、仙台の上空にもまん丸お月様が見えています。」とか流れて、それを見た人が「ああ、そうか。」と思って空を眺めるぐらいで、特にお月見の行事をするという人・家庭は今は少ないと思います。でも、ここの中国人の間では、この行事をしない家庭の方が少ない、というよりどの家庭でもしています。前前日ぐらいから、女の人たちは食事やお菓子の準備。当日も朝からいろいろ作っているようです。この日は、仕事も午前中で切り上げるのだそうです。男の人は、テーブルやランタンの準備。そして、親戚や友人などが集まって食事をして(庭で食べている人たちもたくさんいた)、それからランタンやろうそくに火をつけて・・・。
みんなが、風習を大切にしていると感じました。
それでは、“Jumpa lagi!”
▲ まりちゃん通信(11)へ
▲ まりちゃん通信(13)へ
▲ ホームページへ