第四回・奥多摩温泉 も え ぎ の 湯

平成10年9月にオープンした奥多摩温泉もえぎの湯を取材しました。

もえぎの湯は青梅街道氷川トンネルの傍らにある、小さな日帰り温泉施設です。奥多摩駅から歩いて僅か10分の所にあり電車でも気楽に訪れることができます。
車を降りて最初の印象は敷地が細長いこと。おそらく氷川トンネルの開通前に道路か資材置き場に使っていた敷地を活用したのではないかと推測していますが、とにかく敷地が細長い。だから駐車場、建物も渓谷にせり出すようにつくられており、細なが〜いのが特徴。もともと青梅街道は断崖絶壁の渓谷の縁を走る道路で、立地上スペースがとれないのは当たり前ではある。
もえぎの湯はこれを逆手にとって多摩川の眺望、緑深い森林の味わい、登山客の利便性に転換して有利な特徴としている。また、こじんまりせざるおえない規模の制約が結果的にはちょっとした秘湯の趣というか落ち着きというか、雰囲気の演出につながっている。この点は開湯直後の混雑がなくなった後、リピーター獲得のウリとして将来の支えになるのではないかと思われる。

さて、施設を紹介します。
駐車場を抜けると建物の手前にしゃれたデザインの看板が立っている。
建物の入り口はとても小さい。靴を脱いで受付に行く廊下もこれまた狭い。

    
でも常連さんが ヨォッと声かけて受け付けをすませるにはこれで十分。係りの人と世間話もはずむでしょう(実際に混雑しているにも関わらず世間話しているオジサンがいた)。
入館料は2時間700円(小人400円)也。パンフをもらう。月曜休み、飲食物持ち込み禁止等の注意が書いてある。
廊下は受付の先で2つに別れ、1つは下って浴室に、1つは上って休憩コーナーへと続いていた。
風呂の入り口手前はリラックスルームと称してマッサージ機や体脂肪計付き体重計等が置いてある。もちろん長椅子も1つ。窓から見える緑がきれい。
浴室に入ると石造りの内湯が目に付く。浴室から外に歩くと露天風呂が檜造り。どちらも10人も入るとちょっと窮屈感がでてくるサイズ。でも、平日空いている時ならくつろぐには良い大きさです。
泉質はパンフレットにはフッ素泉とあります。成分表を見るとpH9.85の立派なアルカリ泉で炭酸水素イオン、炭酸イオンもフッ素より多く含まれており、肌をきれいにする、体を温める温泉効果も若干期待できると思われます。
体感での印象は臭い、味、色、粘性いずれもはっきりした特徴が見られず、温泉かどうかの判断は難しかった。成分の含有量・湧出量ともにやや少なめであることを考えるとこれはやむおえないでしょう。

さて、風呂の次は休憩であるがやや細長い42畳の大広間が利用できる。
食事はソバ、ウドン、山菜おこわ、おにぎり等、300-600円程度の軽食のみなので、しっかり食べたい人はあらかじめ駅前で腹ごしらえしてから来る方が良い。
飲み物はジュース類200円、コーヒー400円。
アルコールはサワー、ビール、日本酒、ワインで400円より。
おつまみは刺身こんにゃく、おでん、もつ煮、冷や奴等300-500円位。

土産で目に付いたのは渓山窯の陶器と味噌。陶器のセンスはいい。

    
土産がもう一つ。温泉の持ち帰りが可能です。1人20リットルポリタンク3個までとなっており、料金が書いていないのでおそらく無料。ただし10-18時の時間制限がある。

ここまで取材したらあっという間に2時間が経ってしまった。
取材の当日は開湯から半月経った平日の昼過ぎにも関わらず、入り口前にテントが張られ整理券を発行していた。お客さんは電車の本数が1時間2本くらいはあるためか、車より電車の利用が多かった。姿・格好から見て町から来たと思われる40-60才台の女性が多かった。地元の人はどうやら夕方の利用が多いそうな。登山客も僅か。当面は遠くからの温泉ファンの利用が続くのでしょう。本当に雰囲気を楽しみたいのであればしばらく経って混雑が緩和されてからが良いでしょう。
奥多摩の温泉、是非皆さん訪ねてみてください。

もえぎの湯:東京都西多摩郡奥多摩町氷川119−1

TEL 0428−82−7770
営業時間 3−11月 10−21時(入館受付20時まで)
12−2月 10−19時(入館受付18時まで)
月曜・年末年始(12/29-1/4)は休館

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