ルールの解説(パスインターフェアランス)


【ルール上の定義】
第6編第3章8 パス・インターフェランス
1)
フォワード・パスがあるダウンでは、攻撃チームのプレーヤーはニュートラル ・ゾーンを越えた地点で、パスが投げられどちらかのプレーヤーがボールに タッチするまで、守備チームへ接触による妨害(ブロックを含む)をしては ならない。相手をよけるのは攻撃チームプレーヤーの責任である。妨害した 場合はパス・インターフェランスの反則である。
反則 パス・インターフェランス
罰則 プレビアス・スポットから15ヤード
2)
フォワード・パスが投げられた後は、攻守のすべてのプレーヤーは相手の パスキャッチの試みを接触して妨害してはならない。ただし、攻守2名以上 のプレーヤーが妨害する意図なく、同時にパスに手をのばし、キャッチ又は バッティングしようとする場合は、両チームはボールに対して対等の権利を 持ち、偶発的に身体が接触しても反則ではない。
反則 パス・インターフェランス
罰則
 攻撃側
  プレビアス・スポットから15ヤード
 守備側
  反則地点がプレビアス・スポットから15ヤード以内だった場合は、
  反則地点で攻撃チームにシリーズを与える。
  反則地点がプレビアス・スポットから15ヤード或いはそれ以上
  だった場合は、プレビアス・スポットから15ヤードで、攻撃
  チームにシリーズを与える。
  ただし、プレビアス・スポットが守備チームの17ヤードから
  2ヤードまでの間の場合、反則地点がゴールラインから2ヤードまで、
  またはエンドゾーン内であれば、2ヤードラインから攻撃チームに
  シリーズを与える。
  プレビアス・スポットが2ヤードライン上、又は2ヤードとゴール
  ラインの間であれば、プレビアス・スポットとゴールラインの中間地点
  で攻撃チームにシリーズを与える。
【解説】
[罰則の施行が複雑ですが、それはいずれ別の機会に解説します]

☆攻撃側に関する注意
・結果的にフォワードパスが投げられたダウンでは、
ニュートラルゾーンを超えた地点でのブロックは、
・スナップから
・パスがキャッチされるかタッチされるまで
の間、禁止されています。
「相手をよけるのは攻撃チームプレーヤーの責任」です。

ですので、

・パスコースに出る際にそこに守備の選手がいた場合には、ブロックしたり、相手に接触することを利用した方向転換等は反則です。
・ランプレイのデザインがされているときには、ニュートラルゾーンを超えた地点でのブロックは許されますが、その際、プレイが崩れたことにより、QBがフォワードパスを投げれば、結果的にパスインターフェアランスです。

なお、例外的に
・スクリメージライン手前での正当なブロックを行っているときに、結果的に 1〜2ヤードスクリメージラインを越えてしまったような場合には、上記の 「ニュートラルゾーンを超えた地点でのブロック」とはみなしていません。

これは、ブロックをしている選手もされている選手も動きがあり、スナップされた 後に正確なニュートラルゾーンを把握することができない為、厳密な判定をしない こと、および、正当なブロックをしている場合(つまり押し込んでいない場合)に は、ニュートラルゾーンを大幅に越えないであろうことからルールを甘く適用して います。
ですので、パスプレイのときに押し込んだブロックによりニュートラルゾーンを 越えてしまうような行為は、「押し込みブロック」と「ニュートラルゾーンを 超えたブロック」との二重の反則ですので、練習時から気をつけてください。

また、ルールの本文の日本語は判りにくいですが、フォワードパスがスクリメージ を越えない場合にもこの規定は適用されます。 ルールの「ニュートラル・ゾーンを越えた地点で」は「ボールにタッチする」に かかっているのでなく、「接触による妨害(ブロックを含む)をしてはならない」 にかかっています。

☆攻撃側・守備側の両方に関する注意
・ルールの文面では、「妨害の意図なく」という言葉が使われているので、 偶発的な接触はすべて反則でないように読めますが、意味しているところは 違います。
「妨害の意図なく」は「同時にパスに手をのばし、キャッチ又はバッティング しようとする場合」にのみに掛かっています。 その他のケースでは「妨害の意図が無い」というのは、「キャッチの意図が ある場合」と考えてください。
たとえば、次のような場面を思い浮かべてください。
パスプレイで、右WRは右サイドライン際を真っ直ぐ走ることを 指示されました。
当初、QBはその手前に回り込んでくるガードへのパスを計画して いましたが、何らかの理由で右WRへロングパスを投げました。 右WRはまさか自分に投げられるとは思わずまだ真っ直ぐ走ってい ます。
このボールに対して、コーナーバックが深い位置からボールに向かっ て最短距離を走っていたところ、右WRにぶつかってしまいました。
この場合、右WRは「妨害の意図」はなかったのですが、「キャッチの 意図」もなく、結果的にCBのキャッチの機会を「接触により」妨害して しまいました。
このケースは右WRは結果的ではありますが、CBのキャッチを接触により 妨害しましたので、(たとえそこだけを見ればCBのほうが接触したとしても) 右WRのパスインターフェアランスです。

また次の状況はどうでしょうか?
飛んでくるボールに向かって選手Aがキャッチしようとしているとき 選手Bが選手Aの後方からやはりボールをキャッチしようとして、 選手Aと「同時にパスに手をのばし、キャッチしよう」としましたが 両選手は接触し、どちらもボールをキャッチできませんでした。
                         選手 選手
              ボール      A   B
                ○→      ◇   ◆
この場合には文面で許されているケースのように思えますが、選手Bは ボールに手をのばすことにより選手Aに接触するのは必然であり、 決して「偶発的」ではないので、選手Bのパスインターフェアランスと なります。もちろん、選手Bが選手Aに接触することなく、パスを カットすれば、これはナイスプレイとなるでしょう。

☆守備側に関する注意
パスインターフェアランスとは直接関係ないかもしれませんが、次のような場面 についての解説を加えておきます。

・スナップされた直後、攻撃側の選手が向かってきたのでこれを払った。 あるいはブロックするような行為を行った。正当でしょうか?

《関連ルール》
・第7編第1章6 接触に於ける手と腕の使用
2) 守備チームの、接触における手と腕の使用
(1)
守備チームは、ブロックを避ける為に、相手の肩から腰までに対して つかんだりはらったりして良い。ただし、連続的につかんだり、 突き倒す行為は危険であり、反則である。
反則
パーソナル・ファール
罰則
15ヤードと、攻撃チームにシリーズを与える。
ひどい反則者は資格没収。
(2)
守備チームは、ブロックを避ける以外の目的で、相手をつかんだり、 はらったりしてはいけない。
反則
ホールディング
罰則
10ヤードと、攻撃チームにシリーズを与える。

このルールによれば「ブロックを避ける為」ならば払って良いことになっています。
では「ブロックを避ける為」と判断できるのはどういった場合でしょうか?

たとえばランプレイで攻撃側の選手がニュートラルゾーンを越えてブロックを する、いわゆる「ダウンフィールドブロック」を考えてみます。
このとき守備の選手はこのブロックをかいくぐってタッチに向かわなければ なりませんので、「ブロックを避ける為」に手や腕を使っても構いません。

では、次にパスプレイでWRがCBの正面に走ってきた場合や、センターが LBの正面に走ってきた場合はどうでしょう?この場合、攻撃側の選手は それがパスプレイだと知っているでしょうが、守備側の選手はそれを知り得 ませんので、自分に向かってブロックにくるのか、直前でコースを変えて パスコースにでるのか判りません。
そこで、守備側の選手に攻撃側の選手が向かってきた場合はブロックに来て いるものとして、これを払う行為は正当なものとしています。

一方、WRなりセンターが守備側選手の手前でコースを変えた場合には、 守備の選手はこれを追いかけて接触を試みてはなりません。
なぜならその 行為は「ブロックを避ける為」ではなく「パスコースにでることを妨害」 しているからです。この場合にはホールディングという反則が適用され、 攻撃チームにシリーズ(新しいファーストダウン10ヤード)が与えられます。

以上 (2002.10.01 T.Mori)
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