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このような背景のもとで先発薬品とゼネリック薬品を比較してみたい(表)。薬価基準が低いゼネリック薬品では差益率は高いものの薬価差益額は低くなる。また、在庫金額は低くなる。これに対して、先発薬剤は薬価差額を確保できるものの、在庫金額が高額化する。ここで、もし在庫を限りなくゼロの近づけることができれば、先発薬の方がキャッシュフローとしてのメリットを享受することが出来、しかも病院の顔としてブランド品薬剤が処方されることとなる。そこで、物品管理の目的は在庫を削減することを第一とし、さらにそれに派生する発注業務を削減することとした。
| 先発薬品 | ゼネリック薬品 | |
| 薬価 | 高 | 低 |
| 薬価差率 | 低 | 高 |
| 薬価差額 | 高 | 低 |
| 在庫金額 | 高 | 低 |
これをもし卸を一社にすると、見積もり請求の業務削減は大変大きなものとなる。しかしながら、当院の規模(一般454床、外来患者数1,000人/日)で全国的に例を見ないことであり、実現は危ぶまれ、また大手広域卸の担当者は、端から実現不可能であると即答してきた。
しかし、冷静に考えてみると、卸にとって1億円稼ぐためには、2,000万円の病院が5ヵ所必要となる。これを1病院だけで1億円の売上となれば物流経費の大幅な削減となる。これを理解されないはずはないということで、各卸とのトップ交渉に入った。その結果、中規模卸のI社が受諾を表明した。しかも、一社卸はもちろんのこと、システムの共同開発と、薬価差率を総加重で一定割合とすることとした。すなわち、どの薬品を購入しても薬価差率は同じであるというシステムで、一品一品の薬価差見積もり、価格交渉の業務は消失し、薬価改正時の総値引率のトップ交渉で薬価差は決定されることとなった。
I社は、allを受諾し、その他の卸はnothingとなった。また、システム導入当初懸念された品揃えはI社の努力もあり全く問題はなかった。当然のことながら、納入薬品の採否とメーカー決定権は病院の薬事委員会にあることとした。
すなわち、病院の薬局横の倉庫に納品された大包装薬剤は、病院内で小分けにされる。この小分け薬剤に対して独自のバーコードを添付する。また、小単位で納品される注射薬等に関してはすでにメーカーから箱に添付されたバーコードをそのまま利用する。これら小分け薬剤を薬品庫から製剤室、あるいは病棟へ払い出し時に、コンビニエンスストアのレジのようなバーコードリーダーを通過させる(図2)。このバーコードデータをコンピューターが集計し、最後の小分け品が通過した時点で、自動的に電話回線を使用して卸側の物流センターへ発注するシステムとした。これにより、明らかに発注点の低下を見た。
![]() 図1:薬剤管理システムの概要 |
![]() 図2:薬品庫出口に設置されたバーコードリーダー付きコンピュータ |
さらに、診療材料の院外SPD化とともに材料・薬品の受発注業務は皆無となり、受発注に関わっていた用度課職員は5名から3名に削減することができた。