「船上のメリークリスマス」 page 7
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「・・・そろそろ出発するそうです @さんもヘリポートに戻って下さい」 「はい、了解しまし・・・」 立ち上がりかけた俺の目の前が突然真っ白になり、次の瞬間には壁に体をしたたか打ち付けていた。 「@さん?!」 「な、何でもありません コード・・・コードに足を引っ掛けて」 例えPDA越しであろうとLにそんな誤魔化しは通用しない気はしたが、俺は咄嗟に嘘をついた。 「コードに足を引っ掛けるなど、FBI捜査官として あってはならない失態です そうですね・・・減俸3ヶ月にトイレ掃除1ヶ月も付けましょう」 「・・・ごめんなさい 立ちくらみです」 やはり通用しなかった。 スピーカーから聞こえる、Lの笑い声。 激しい程の切なさが、喉の奥をギリギリと締め付ける。 もう、終わりにしなくては。 本来なら存在する事の無かった会話。 最後にCallしてくれた彼のために、別れは俺から切り出そうと思った。 「L・・・ありがとう こんな言葉では、とても伝えきれないけれど 本当に・・・本当に感謝しています」 「・・・・」 グラナダ号で この半日の間に起きた出来事が、次々と脳裏を過ぎる。 沢山の出来事、そして、数え切れないLの言葉。 記憶に収まらずに溢れた言葉が零れ落ち、俺の目頭を熱くさせた。 「短い間だったけれど、貴方の相棒になれて嬉しかった 体に・・・気をつけて、元気・で・・・・・」 「・・・・さようなら」 再び静寂が戻り、計器の音のみが その場を支配するブリッジ。 通話終了の文字が映るPDAを持つ手を力なく下ろし、Lは男の消えたテレビ画面を見つめ続けていた。