fj.*の歩き方 (1996 Apr) (5.3)
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5.3「著作権」

ト、ここは「臍曲り署」の捜査一課。非道な投稿をすることで知られている「銀
  星会」の著作権が問題になる投稿について、デカ長、おやつ刑事、ゴジラさ
  ん、ポン酢刑事、新人のシカゴ刑事などがもめている。うるさいこといえば、
  捜査一課では、著作権等の事件は扱わないのだが、まあ、そこは気にしな
  いでもらいたい。

ト、例によって、女性警官のもってきてくれたお茶を飲みながら。デカ長が周囲
  にいる、部下達に話をします。

ト、ト書きが気になる人も、気にしないで下さい。

デカ長:銀星会の連中が、fjで勝手にビデオソフトのダビングをする商売をして
    いる噂の件だが、おやつさん、いったいどうなってるかね。

おやつ:ええ、ダビングする行為についてなんですが、個人がする分ならばかま
    わないのですが、どうやら、連中、大々的に商売にしているようです。

シカゴ:へえ、fj.*では、そういう営利目的の商売をしちゃいけないってのは聞
    いてましたが、銀星会を、その件でパクろうってわけなんスか。

ポン酢:いや、シカゴ違うんだ。個人間の融通程度ならば、fj.forsaleがあるよ
    うに、社会的に許容される範囲ならばいいんだ。わかるか。シカゴ。

ゴジラ:そうだ。それに、だ。そもそも、だ。あー、なんだ。その。つまり。

ポン酢:つまり、著作権法違反ということの方が大問題といっていいんだ。

シカゴ:へえ、fj.*はニュースだから。著作権なんか関係ないかと思ってたス。

おやつ:なにを馬鹿なことを。fjだろうが、何だろうが、著作権ってのは関係し
    てくるんだ。まあ、あまり杓子定規に考えず、多少の融通はあっても
    いいだろうが、でもな、法律は、法律。それがあることは知るべきだぞ。

デカ長:そうだ。おやつさんのいう通りだ。だから,fj.*に歌詞を引用する場合
    には、あくまでも引用でなければいけないぞ。歌詞だけを全部をそのま
    ま書いてそれだけを投稿するってのは、問題があるぞ。せめて作詞者名
    とか、な。あくまでも、引用なんだから。そこらを注意すべきだな。

ポン酢:そうだ。シカゴ。fj.*の記事自体も著作物といってもいいぞ。まあ、
    fj.*自体が新しいものだから、まだそこらの所の著作権については、
    行政側でも法曹界でも結論がそれほど出てないのだが、だからとい
    って、そこらの意識をはっきりしておいた方がいいと思うな。

デカ長:そうだ。歌詞の問題については、はっきりとはいえんが、経験的には、
    あまり長く引用するのはどうかと思うぞ。まあ「好きです」と書いた
    だけで、それはある歌詞の一部だからといって訴えられることはある
    まい。だがな、作詞者名もなーんもなく、歌詞だけ、しかも他には何
    もないってな記事を投稿するのは、ちょっと問題があるといいたいな。
    まあ、それだけではなく、まだまだfj.*と著作権のかかわりがあるな。

シカゴ:そうなんスか。デカ長、そこらちょっと、調べてきまっス。

ト、意味もなく街をかけめぐり、なにを聞いてんだが、聞き込むシカゴであった。

BGM:チャララー、チャララー、チャッラチャラー、チャララ、チャラチャンチャ、
    チャララー、チャララー、チャッラチャラー、チャララ、チャララリャー

    おやつ:デカ長。ところで、この上の行ってのは、歌詞の引用ですかねぇ。
    デカ長:大丈夫とは思うが。ちょっと、本庁に行って聞いてみるとするか。

ト、そういう、刑事部屋の心配もよそに、シカゴ刑事、帰ってくる。

シカゴ:はぁ、デカ長。わかったス。えーと、まずは、ソフトの著作権でスが、
    あー、fjに流す場合には、えーと、注意が必要で。売ってるソフトをそ
    のまま流しはいけない場合がほとんどだし、売っているソフトを何も考
    えずに勝手にコピーしまくるのも問題ということっス。

おやつ:んな、あたりまえのことじゃないか。いったい何をしらべてきたんだっ。

ポン酢:まあまあ。おやつさん。あたり前のことかもしれないが、fj.*に参加して
    いるうちにそこらの感覚がマヒしたりする人もいるっていうことですよ。
    何かのソフトが欲しいとなると、それを無断コピーしてくれ、といってみ
    たりするもんですよ。かなり気をつけてないと、ナアナアになってしまう
    ものなんですよ。

ゴジラ:でもなぁ。ポン。PDSとかシェアウェアってのがあるぞ。ありゃ何だ。

デカ長:あれは、そう宣言しているやつだろ。自由にコピーして配布してもいいよ、
    ってな。まあ、そう書いてある奴については、まあかまわないし。自分が
    そういうのを作って配布すると、まあ、皆に喜ばれるという面もあるな。

ポン酢:まあ、配布とか改造とか流用とか引用が自由であってもですね。それを
    作った、つまり、現著作権者について無視して、あたかも自分がそれを
    作ったかのような顔をし、さらに、それを売って商売する、そう、盗作
    するってのは、さすがにやっぱりマズいんでないかい。

おやつ:お、ポンちゃん、実は、蝦夷っ子だね。蝦夷っコだね。寿司喰いねぇ。

ポン酢:お、おやつさん。それはともかく。シカゴ。他にも問題はあるだろう。

シカゴ:そうっス。えーと、歌詞とか、ソフトよりももっと頻繁にある問題として
    人の記事とかメールを引用する場合っス。これも著作権がからみますし、
    そうでなくても、やっぱ、仁義の問題っちゅーか、社会通念ちゅーか。

ゴジラ:そうだな。シカゴ。引用には、それなりの形がいるってことなんだよな。

シカゴ:そうっス。特に記事とかメールの引用の場合には、誰のどんな記事かを
    明確にすべきなんス。まあ、ここらはソフトで自動的にやってくれるっス。

おやつ:ふむ。そうだな。だがな、あくまでも引用とするならば、全文引用って
    のは、あまり感心しないな。まあ、投稿依頼の場合とか、いろいろある
    から一概にはいえんが、必要でない部分までの引用はやめた方がいいな。
    特に、相手の署名部分を引用するってのは、ほとんど意味ないわけだし。

デカ長:まあ、そうだな。それに気をつけなければいけないのは、他のメディア
    にもっていく場合だ。そういう場合は、原則として、記事を書いた人の
    許可が必要だな。まあ、最初から転載自由と宣言してあれば別だが。

ト、ここで、深刻な音楽になり、デカ長のアップのまま、CMになる。

CM:ただいま、定期的に、fj.soc.lawには、著作権関連の法律についての抜粋
   が、ボランティアにより投稿されております。どうか、皆様の御利用を。

ト、CM終る。

デカ長:原則として、記事を書いた人の許可が必要だな。まあ、最初から転載自
    由と宣言してあれば別だが。

シカゴ:あ、それで思い出したんスが、私信の公開ってのは、問題があるっス。

ポン酢:そうだな。メールは一応、私信だからな。出した相手に許可なく勝手に
    ニュースにして公開したりするのは、ちょっと問題だな。あ、相手に確
    認することは必要なんだな。

シカゴ:それで思い出したんスが。銀星会からの脅迫状のカミソリメールが
    をもらった人がいるんス。でもって、それをニュースに公開していい
    かどうかと聞かれたんスが、どうしたらいいんスか。

ポン酢:原則からいえば、公開してはいかんな。

ゴジラ:ポン。なにをいう。非常事態だぞ、そんな悠長なことが言ってられるか。

おやつ:まあまあ、まあ、双方のいわんとすることはわかるが、ここらはむずかし
    い所なんだな。で、デカ長、いったいどうすればいいんでしょうか。

デカ長:ふむ。これは問題だな。相手からの脅迫メールを公開引用しないと、脅迫
    されていうことは、皆にわからんし。かといって、勝手に引用することで、
    その行為が非難されてしまう危険もあるわけだ。おい、シカゴ、その銀星
    会から脅迫されている人は、いったい誰なんだ。

シカゴ:ええ、えーと、それはっスね。えーと、いってしまえば、オレなんスよ。

ト、例によって口にした茶をふき飛ばすデカ長。

おやつ:なんだ、シカゴ、お前かぁ。じゃ、何も気にすることはないな。

デカ長:そうだな、お前ならば、何も心配することはないな。

ポン酢:まあ、しっかり対処してくれたまえ。

シカゴ:そんなぁ、ひどいっスよぉ。

ゴジラ:わはははは。

ト、皆が大笑いした所で画面が静止する。で、終るかと思ったら以下が続く。

シカゴ:で、俺ですけど、結局どうすればいいんスかねぇ。
ゴジラ:自分で考えろ。
おやつ:まあ、ゴジさん。結局は投稿すればその人の責任なんだから。
ポン酢:おやつさん。それだけじゃなくて、公開することで非難をうけるか、
    それとも、それなら仕方ないってなるかは、ケースバイケースです
    しね。全文引用でなくて、これこれこういうメールだというだけで
    もいいわけですからね。

ト、なぜか場所は荒涼とした波止場の風景になる
BGM:(スローテンポで)チャララー、チャララー、チャッラチャラー

デカ長:そういうことだ。わかったな、シカゴ。ま、一服どうだ。
シカゴ:わかったス。しかし、自分で考えるのは、しんどいっスねぇ。煙草が
    目にしみるっス。俺には、俺にはしんどいかもしれないっス。
デカ長:誰でもその道は通るんだ。逆にいえば、それだけ自由があるというこ
    とだな。常識的に考えれば、たいていはうまくいくさ。ま、これから
    も、しっかりやってもらいたいな。
シカゴ:はい。デカ長。しかし、著作権。色々あるっすねぇ。

ト、カメラはロングに引く。なぜか、周囲を制服の警官達がうろうろしている。
BGM:チャーララチャララララーーーッ

著作権について参照すると良い文献:

千野直邦、尾中普子:「著作権法の解説」新訂版、一橋出版、
ISBN4-89196-587-8 C1032 P580E、1994年5月20日新訂版第3刷発行