▲Pumpkin Time▼ 空と君の間(中島みゆきの行方)


 

強い風はいつも

みゆきの歌詞は全般において良質な文章で作られている。 歌詞だけで感動を与えられる数少ないシンガーソングライターである。 手垢の付いたとか、常套句、紋切り型、とか呼ばれる文が比較的少ない。
この歌もそうだ。
歌詞には通常、映画のワンシーンのように情景を持ってくることが多いが、 この歌は、抽象的なイメージによってなりたっている。
みゆきの歌詞は、語り口調と、この抽象的な暗喩によってできているものが目立つ。
強い風、強い雨、強い日差し、強い愛、 と続くこの三つ目までは最後の強い愛の暗喩なのだろうか。 それとも、四つともなにかの暗喩なのだろうか。
強い風にも負けるなと、言わないところがみゆきらしいといえるだろう。
負けるなということの残酷さをもしかすると、中島みゆきも知っているのかもしれない。
世の中には激しい衝撃に耐えられない人々がいる。騙され続け、痛めつけられ続ける人種もいる。
その人々にとって、みゆきは憎悪や苦痛を代弁する優しい歌に聞こえるのかもしれない。