分数の計算のできない大学生がかなりいるという報道がなされている。国立大学や、一流といわれる私立大学の学生の中にも算数の基本的な計算ができなかったり、常識的な知識を持っていないものがかなりいるらしい。

 「特色ある学校づくり」といわれて久しいが、普通科の高校では商業高校や工業高校と違ってなかなか特色を出しにくい。またいかに特色を出そうとしても、その特色がなかなか評価されない。結局大学への進学率や、入試の偏差値でその高校の評価がなされている場合がほとんどではないだろうか?

 大学への進学率で評価される限り、高校では特色を出そうとすればするほど、大学への入試のための効率的な授業形態をとることとなる。入試に関係のない科目の授業の時間数もかなり減ってしまうのもやむを得ない。一方で学生も親も入試に関係がない科目に力を入れるよりも、入試科目だけに力を入れて欲しいという要望もある。入試に関係のない分数の計算ができなくても、入試科目に力を入れた方がよいわけである。

 大学の入試制度も大きく変わり、大学へ入学することが広き門となりつつある。(全員入学時代を迎えようとしている短大・大学参照)企業の方も学歴を重視した採用から、能力を重視した採用を重視するようになりつつある。(学歴社会の終焉参照)

 有名な大学に入ってもそれだけでは何の意味も持たくなりつつある。大学に入っても算数の計算ができなかったり、基本的な知識が身に付いていなければ、社会に出ても、何も評価されないであろう。「大学に合格するための教育」から「個性や能力を伸ばす教育」に変わらなければならない。学校自身の努力はもちろんであるが、社会全体も変わっていかなければならない。

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