商売で「お客様は神様です」という言葉がよく使われる。お客様のニーズをいち早く知り、お客様が必要とするものを提供しようとする姿勢であると思われる。

 学校においても、「生徒のニーズをとらえなければいけない」とか「民間と同様の競争原理を導入するべきだ」等の同じような意見が聞かれるのは嘆かわしいことである。この場で何度でも述べているのだが、教育に競争原理はなじまない私立の学校の方が優れているのかまたは民間人が教壇へ上がること参照)教育に必要なものは教育理念である。どういう理念で教育をしていくのかが大切であって、子供たちの意見だけを聞く教育というものはあり得ない。

 「子宝」という言葉がある。子供たちは社会全体の宝である。宝は磨かなければ光り輝くことがない。ときには優しく、ときには厳しく磨き上げることですばらしい宝に変身する。子供の言うことは何でも聞き、子供たちがやることを何でも許すような教育は「子供たちは神様です」といっているようなものである。神様を磨くことは不可能である。宝は親や学校のみならず社会全体で磨いて、美しい輝きを放つのではないだろうか?

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