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山下綺麗の日記 参

 

 学校に向かう途中にいくつもの犬や猫の死骸に出会う。目を背けるのはかわいそうなためではなく、気持ち悪いから。以前に半分骨になったイヌにカラスが数羽ついばんでいるのを見た。車が横を通りすぎるのも気にせずに死骸のうえで作業を続ける。そこは車の通りは多いが、歩道の人通りが少ない場所だったので、そうなったのだと思うが、死骸がいつも数日でなくなるのは、きっと死骸を役人さんが回収しているから。カラスがついばむのよりも私はよいと思っているが、自然なのは、カラスがついばむ方だろう。

 自殺未遂のエッちゃんとまた同じクラス。噂だけかもしれないし、本当なのかもしれないが、私は知らない振りをするだけ。エッちゃんは、割と明るく、割と優しい。つまり普通。普通の人なんているのと聞かれると辛いが、でも、エッちゃんは少なくとも異常ではない。私は誰にも興味がない、私は、だからだろう、冷たいと言われる。マザーテレサが言った、愛の反対は憎悪ではありません、愛の反対は無関心です、と。だから、愛と憎悪はよく同居する。私は愛の反対側にいる。

 昨日までの冷たい雨が、今日は温かい雨になる。今日の暖かな風が、明日は冷たい風になっているかもしれない。天候不順の春の天気。でも不順なのは、温度だけ。暑さ寒さも彼岸まで、なんて言うけど、その前にはこんな葛藤の日々が続く。