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最近の話題1998〜1999年 |
目次 |
自民党の医療保険抜本改革の骨子
回復期リハビリテーション治療病棟について
99年度版厚生白書の概要
厚生省による介護保険料抑制案
医療保険適用と介護保険適用の療養型病床群の役割分担(厚生省案)
自民党による医療改革方針案のポイント
厚生省の介護報酬に対する考え方
厚生省、電子カルテを正式に承認
第4次医療法改正の骨子
2000年度医療保険改革に向けての3つの柱
高齢者医療制度見直し案について
診療報酬作業委が「論点整理」
病院消費税調査:損税が拡大
第4次医療法改正への検討項目
平成10年診療報酬改定影響度調査(中間報告)より
一般病床の区分について
特別医療法人制度について
98年度国民医療費予測
医薬品供給機構について
医師のカルテ開示義務、法制化へ
98年春の診療報酬改定・医療保険制度改革
平成12年4月1日 医療制度改革情報
厚生省試算の98年度医療費抑制策
1999年以降
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自民党の医療保険抜本改革の骨子 |
(健康保険組合連合会(千葉一男会長)のこれに対するコメント:10月14日)
自民党の医療保険制度改革案について「極めて憂慮すべき状況にある医療保険財政の立て直しには十分な対策とはなっていない」としてさらなる抜本改革を求める声明を発表。
特に改革案の柱である、老人患者の自己負担を現行の定額制から10%の定率制に移行させる方針に関しては「原則に忠実に具体的内容が明確にされることを望む」と確実な実行を求めている。
(My Opinion)
どちらかというと日本医師会側の自民党と支払側とのつばぜり合いが今後激しくなりそうだ。今回の改革案も従来のものと大きく変わるものではなく、2000年を前にして具体性に欠く内容といわざるを得ない。
すべての団体が納得する改革案は有り得ない。また、社会保障をとって国民の安心を得るか、財政の再建を優先するか、この両者が共立する改革案も有り得ない。自自公と安定政権を築いた同党のリーダーシップを期待したい。
回復期リハビリテーション治療病棟について |
構造設備基準 |
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人員配置基準 |
医師 |
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看護職員 |
*看護 3:1・看護補助3:1 |
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PT |
* 3名以上 |
当該病棟には原則的に左記の人員が配置されていること |
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OT |
* 2名以上 |
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ST |
* 1名以上 |
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MSW |
* 1名以上 |
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入院適応患者 |
回復期のリハビリテーションニーズがあり、 ADLの改善や自宅復帰の可能性が十分にある点を、専従のリハビリテーションを専門とする医師が客観的基準により判定し、入院適応を決定する。 |
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入院期間 |
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診療報酬 |
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(My Opinion)
2つより3つの方が座りがいい。これはすべての現象、制度につながるように思う。従来の急性、慢性の区分の間に亜急性が必要であることはかねてから主張してきた。亜急性の一つの提案として回復期リハビリ病棟である。この人員基準にどこまでのリハビリ病院がついていけるかが最も危惧するところである。しかし、亜急性期医療の議論の火付け役となることを望みたい。
99年度版厚生白書の概要 |
(My Opinion)
若年者の負担率の逓減のためには取れるところから取ろうということになる。日本経済を引っ張ってきた団塊の世代は歳をとってもがんばれということになる。しかも、現状の中高年のリストラの恐怖にさらされながら・・・。
厚生省による介護保険料抑制案 |
現行の平均利用額(46万円)より、低く設定
広域圏ごとに高齢者人口に対する割合から総定員を規制
要介護者の利用希望率を4割に設定
自由化による価格競争の促進
(My Opinion)
常套手段であるが、はしごに登らせて、多くの者が登りきったところではしごをとってしまった感がある。
面積基準の広い療養型病床転換のために多くの医療機関はお金をかけた。それが、(環境の悪い)一般慢性期病床の長期入院医療費を根拠に報酬は削減される。
また、利用者側は「金がない」を理由に在宅介護サービスさえ、利用を規制される。
介護保険制度は老後の安心と、介護者の開放が目的ではなかったのか!介護サービス提供側も利用者側も不安はつのるばかりのようである。
医療保険適用と介護保険適用の療養型病床群の役割分担(厚生省案) |
介護保険適用療養型病床群 |
医療保険適用療養型病床群 |
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主な対象と考えられる者 |
要介護認定で要介護 1〜5と判定された者( 65歳以上の高齢者、40〜64歳の特定疾病の患者で、右欄の1,2に該当する者を除く) |
病状が安定した長期療養患者のうち、主な対象は以下のような患者と考えられる。
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職員体制 |
看護職員の配置としては、入院患者 6人に対して1人を基本に評価(療養2群) |
看護職員の配置としては、現在、入院患者 5人に対して1人を上限として評価(療養1群) |
リハビリテーション |
状態の比較的安定した患者を対象とするリハビリテーション |
急性期後化からの、機能回復を主眼とした積極的なリハビリテーションも評価 (総合リハビリテーション施設におけるリハビリテーション等) |
処置や手術 |
慢性期の患者が、介護と併せて、通常必要とするような簡易な処置等については、介護保険から給付。複雑な処置や手術等については、医療保険から給付。 |
上記の患者が、頻繁に必要とするような複雑な医療処置や手術 |
(My Opinion)
療養型病床群の行方が2つの制度間で揺れ動く。厚生省が挙げた整備目標19万床をはるかに超える勢いで増加している。両制度の開設基準における違いはケアマネジャーの有無以外に大きなものはない。すべての療養型病床が介護保険に行くと介護保険制度の保険料は増加する。医療と介護の垣根があまりにも不明確である。介護の部分に医療を取り込みすぎたところが根本的な問題のように思えてならない。
参照:医療経営Archives「療養型病床群が医療法から消える」
自民党による医療改革方針案のポイント |
6月3日に自民党がまとめた医療保険制度改革の基本方針案のポイントは次の通り。
【医療改革】薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療、医療提供体制の各課題の関連性を勘案して2000年度からの実施を目指す。介護保険制度が医療制度に与える影響を考慮する。
【高齢者医療】患者負担については現役世代の負担とのバランスや介護保険制度との整合性を踏まえ、定額制から定率制へ見直す。
【薬価制度】薬価差を解消するとともに薬剤価格を適正化する。薬価算定方式を見直し、算定方式を透明化するための新機関を設置する。現行の別途負担は廃止し、新たな在り方を検討する。効き目の著しい画期的新薬の定義を拡大する。
【診療報酬体系】薬価差に依存する医療機関経営からの脱却を目指し、技術を適正に評価する。医療機関の機能分担、連携を促進する。包括(定額)払いを拡大する。
(My Opinion)
参照価格制度を日本医師会の圧力で取り下げた自民党の対案である。従来からの流れを大きく変えるものではない。薬価差経営から技術料による経営へのシフトはもっともなことである。具体策に乏しいために議論の場にさえ上りがたい実状のように思えるものの、今後の議論の推移を見守るために一度整理しておきたい項目である。
厚生省の介護報酬に対する考え方 |
−介護報酬は1点単価で表示、逓減制不採用などの考え方提示ー
厚生省は4月26日、医療保険福祉審議会の介護給付費部会(星野進保部会長)で、介護報酬設定について基本的な考え方を提示。
*点数が入っていない介護報酬の骨格案を7月にまとめた上で、7月下旬に仮単価を公表し、平成12年1月に具体的な介護報酬を設定予定。
(My Opinion)
特に療養型病床については介護保険型か医療保険型かどちらを選択するかで論議を呼んでいる。完全型の場合、要件は介護支援専門員の有無だけである。各病院の性格を省みてどこまでが加算となるかによって選択の道が変わってくる。この方針の提示によって、ある程度各病院の戦略が見えてくるのではないだろうか。
厚生省、電子カルテを正式に承認 |
病院のカルテ(診療録)は紙媒体による保存しか認められていなかったが、厚生省は4月23日、コンピューターで作成した電子カルテによる保存を認める通知を各都道府県知事に出した。医療の質を向上させ、患者の利便性、業務の効率化を図るのが目的。
患者の症状を記録したカルテは、医師法で5年間、また検査などの諸記録は2年間の保存が義務づけられている。電子媒体の普及で、現行法でもワープロやパソコンでカルテを作成できるようになったが、保存する場合は、いったん紙媒体にプリントアウトして保存していた。
今回の通知により病院のカルテ、エックス線写真のほか、薬剤師の調剤録なども、コンピューターのハードディスク、フロッピー、CD―ROM、磁気ディスクに入力して保存できるようになる。
電子カルテを保存するにあたり、厚生省が作成したガイドライン
第4次医療法改正の骨子 |
区分 急性期病床 慢性期病床 主な人員配置
(対患者数)・医師:16対1
・看護婦・准看護婦:2.5対1(現行4対1)
・薬剤師:70対1・医師:48対1
・看護婦・准看護婦:6対1(現行4対1)
・介護員:6対1
・薬剤師:150対1必要施設 手術室、診察室、臨床検査室、処置室、エックス線室、調剤所等 急性期病床において必要な施設の他
機能訓練室、食堂、談話室、浴室病床面積
(患者1人あたり)・新設・全面改築:6.4u以上
・既設(3年の経過期間後):5.0u以上
(現行は4.3u以上)6.4u以上 廊下幅 ・新築・全面改築:1.8m以上(両側居室2.7m以上)
既設:1.2m以上(両側居室1.6m以上)
(現行基準と同じ)1.8m以上(両側居室2.7m以上) 在院期間 3ヵ月以内 長期療養可
医療法改正と診療報酬改定
厚生省のホームページにリンク
診療報酬体系見直し作業委員会報告書(平成11年1月13日)
(My Opinion)
医療法と診療報酬体系見直しのダブル効果で経済誘導を図り、さらに患者への情報提供を促進するというねらいが見える。「めりはり」という観点に立てば大いに評価できる。しかし、慢性期病床に対する医療費抑制だけで終わることがないか。慢性期の医療費を下げるだけではなく、本当に医療が必要な急性期に厚い医療費の担保が求められる。
参照:医療経営Archives 「医療法改正のゆくえ」(水野 肇 著)
2000年度医療保険改革に向けての動き |
3つの柱
参照:医療経営Archives「薬価上限制の導入断念を−医療費抑制できず」
厚生省のホームページにリンク
21世紀の医療保険制度(厚生省案)
−医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向−
高齢者医療制度見直し案について |
厚生省は1月27日、現行の老人保健制度に代わる仕組みとして検討されている二つの案について、2000年度に導入した場合の財政への影響を試算した結果をまとめた。
(試算)公費負担が8兆9700億円(現行制度だと7兆4100億円)に増大するものの、全体の保険料は14兆5000億円(同15兆6200億円)と、伸びが抑制。高齢者の保険料負担は年間3万6000円。
日本医師会の提案を踏まえたもの
(試算)全体の保険料、公費負担額とも現行とほぼ同じ水準だが、年間の保険料は市町村国保の加入者で2万円も負担が重くなる一方、サラリーマンの負担は5000〜1万8000円程度軽減。
連合や日経連などが示した考え方に沿うもの。
診療報酬作業委が「論点整理」 |
厚生省の医療保険福祉審議会の診療報酬体系見直し作業委員会(五島雄一郎委員長)は1998年12月7日「論点整理」案を了承。
「論点整理」案
(My Opinion)
従来の議論を改めて整理したものである。急性期−慢性期の「めりはり」化、生活習慣病対策、技術料とキャピタルコスト、DRG・PPS等である。先送りすることなく、しっかりと議論していただきたい。
特に、「技術・患者ニーズの高度化とこれを保障する財源」に関して、今後、医療が「どうしても必要な医療か」「患者の要求・欲求か」を見極めて患者自己負担率を変えていくという選択肢も考えるべきであると思う。
病院消費税調査:損税が拡大 |
日本病院会の医療経済・税制委員会(池澤康郎委員長)は、病院の薬剤などの仕入に要する支払消費税が診療報酬で一部しか補填されていないいわゆる「損税問題」の実態把握のため平成7年度の初回調査に引き続き「平成9年度消費税に関する調査報告書」(590会員病院の平成9年決算による)を取りまとめた。
病院の消費税負担割合の平均が厚生省が診療報酬の中に含めたとされる1.53%(平成元年の消費税導入時の0.76%の上乗せ分と、平成9年4月の5%改定時の0.77%上乗せ分を合算)を1.12%上回る2.65%(1病院あたり約6,050万円の損税)と判明した。
税額控除できない消費税の社会保険医療収入(非課税売上)に対する割合(病院平均、単位:千円)
医業収益の非課税売上 | 総収益中非課税売上 | 総収益中課税売上 | 非課税売上割合 | 支払消費税額 | 控除できない消費税額 | 控除できない消費税額割合 | 消費税の実質負担額(持ち出し額) | |
590病院の総合計 | 5,355,840 | 5,419,641 | 347,309 | 0.939 | 151,349 | 142,449 | 2.65 | 60,505 |
(My Opinion)
そもそも誰が医療費の消費税をゼロとしたか。しかも、医療機関の仕入には消費税がかかる。医療団体側の責任も大きい。例外なく、広く浅く消費税は課税するはずであった。景気低迷の中消費税見直し論議が盛んである。例外を作らないこと、さらに益税業者の排除が本来の消費税の姿ではないだろうか。
第4次医療法改正への検討項目 |
厚生省・医療審議会は第4次医療法改正に向けての検討項目を提示。
参照:将来の医療展望
平成10年診療報酬改定影響度調査(中間報告)より |
日本病院会・統計情報委員会報告
日本病院会・統計情報委員会は、平成10年4月に実施された診療報酬改訂と同時に行われた薬価基準の引き下げによる影響度調査の中間報告を発表した。
1日あたり点数比(4月/(2月+3月)メジアン)の平成8年、9年との比較
平成 8年改定 |
平成 9年改定 |
平成 10年改定 |
|||||
入院 |
外来 |
入院 |
外来 |
入院 |
外来 |
||
総数 |
101.6 |
99.9 |
99.3 |
97.4 |
97.5 |
96.3 |
|
公的 |
199 床以下 |
100.5 |
99.5 |
98.6 |
97.2 |
92.4 |
97.2 |
200-399 床 |
100.6 |
99.8 |
99.5 |
96.7 |
96.7 |
96.3 |
|
400 床以上 |
102.3 |
99.6 |
99.5 |
97.0 |
98.2 |
96.7 |
|
私的 |
199 床以下 |
100.3 |
100.4 |
98.6 |
98.5 |
97.5 |
95.9 |
200-399 床 |
101.7 |
101.1 |
98.3 |
98.6 |
98.5 |
95.5 |
|
400 床以上 |
103.3 |
99.0 |
100.0 |
99.3 |
98.1 |
96.1 |
646病院における調査
平成10年の改定では入院・外来ともに大幅なマイナス改定であったことが明らかになり、病院経営がさらに厳しさをました現状が浮き彫りにされた。特に、病床規模別で見ると、199床以下病院ではマイナス改定の影響率が大きく出ており、とりわけ公的では病床規模が小さいほどマイナス改定の影響が大きい。一方、外来を見ると、私的病院のマイナス幅が公的病院より大きく、特に200〜399床病院のマイナス幅が4.5ポイントと大きく、私的病院の経営が厳しい現状を物語っている。
一般病床の区分について |
厚生省健康政策局の「必要病床数等に関する検討会」(座長=岩崎榮・日本医科大学常任理事)は、平均在院日数を考慮した一般病床の区分(亜急性期を含む急性期病床と慢性期病床の二区分)の導入という考え方を踏まえ、医療計画上の一般病床の必要病床数に関する算定方式を変更するよう求める報告書をまとめた。
新しい算定方式の概要
(My Opinion)
いよいよ99年春を念頭においた第4次医療法改正論議が姿をあらわし始めた。美味しいえさで、まず療養型病床に転換させ、これを介護保険へ押し出し、それでも(しぶとく)残った一般病床を区分していくという図式が見え隠れする。確かに限られた原資を元にする医療のなかで医療機関同士、医療機関内における機能を分担する「めりはり」は必要であろう。しかし、すべての発想が平均在院日数から始まっていることに疑問を感じないわけにはいかない。急性期と慢性期を在院日数だけで分けていいものであろうか。今後の動向に注目したい。
特別医療法人制度について |
平成10年4月1日の第三次医療法改正にて、「特別医療法人制度」新設
特別医療法人が営める収益事業
特定医療法人との違い
特定医療法人は大蔵大臣の認める課税特別措置による名称で、差額病床規制、医師給与の上限規制を除いて、同じ要件。
(My Opinion)
My Articles :「自由競争の荒波に身を投じる第一歩」 参照
98年度国民医療費予測 |
厚生省は、毎年膨張を続けてきた国民医療費が1998年度は前年度比1.1%(約3000億円)減の28兆8000億円にとどまるとの推計をまとめ、5月22日に開催された医療保険福祉審議会に報告した。昨年9月に導入した薬剤費負担や老人医療の負担増などの結果、患者1人当たりの通院回数が減少したことなどが大きな原因。毎年ほぼ1兆円のペースで伸びていた国民医療費が、前年度より減るのは、61年度に国民皆保険制度が始まって以来初めてとなった。
ただ、国民医療費のうち70歳以上が対象となる老人医療費は2.0%増の10兆4000億円と過去最高を更新する見込み。
「医薬品供給機構」設立案 |
日本医師会(坪井栄孝会長)は5月12日、現在の薬価基準制度に代えて、健康保険組合などの委託を受けて医薬品購入に当たる「医薬品供給機構」を新たに設立する新制度案をまとめ、医療保険福祉審議会(厚相の諮問機関)企画制度部会に提出した。
ねらい:医療機関が医薬品の購入に携わらないようにすることで、経営原資の一部を薬価差益に頼っている現状を改める。
新薬価制度をめぐっては政府、与党が既に、保険から支払う医薬品の限度額を設定し、限度額を超えた分は患者負担とする「参照価格制度」を2000年度をめどに導入する案あり。
医師会案は、健保組合や国民健康保険などの支払い側、卸業者、地域医師会による協同組合などが「供給機構」を設立。供給機構がメーカーと価格交渉し、医薬品を購入する。医療機関は必要な医薬品を供給機構に発注し、納入してもらうだけとなる。
医師会は「薬価差がなくなると同時に、支払い側の意向が価格交渉に反映されるので低価格化も進む」と主張。
(My Opinion)
今回の医師会案は巨大な共同購入機構の創設と言ったところか。マスの強みを活かしてメーカーと機構は値段交渉をし、従来の卸業者は物流・配送の代行業者としてのみ生き残る。まさに、材料持ち込みの料理屋の発想のようである。料理屋は加工賃をもらうわけである。この加工賃がホスピタルフィー、ドクターフィーとしてどれだけ認められるかということになる。
さらに、問題は「供給機構」の資本的裏付けである。「供給機構」の経営安定化のためには機構側で薬価差を生む。また、機構参加組合の経営が破綻した場合、その損失を誰が補填するかである。
参照価格制度を含めて大いに議論すべき問題である。
医師のカルテ開示義務、法制化へ |
医師が患者の病名や治療法などを記録するカルテ(診療録)の患者への開示について検討してきた厚生省の「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」(座長・森島昭夫上智大教授)は4月23日、医療法を改正して、カルテ開示を医師の義務として法制化すべきとする提言をまとめた。同省は、5月に出される検討会の最終報告を受け、法改正作業に着手、早ければ来年にも法律に基づくカルテ開示が行われる見通しとなった。
森島座長がまとめた提言:「あらゆる分野で個人情報の保護対策の充実が図られていることを考慮すると、法律上、(患者側の)開示請求権と(医師の)開示義務を定めることには大きな意義がある」と指摘。
そのうえで、診療情報の患者への提供は、医師の職業上の義務であり、求めに応じてカルテを開示しなければならないことを医療法に明記するよう求めた。
My Articles:共有するには信頼関係が不可欠。見る側にも責任が要求されます
98年春の診療報酬改定・医療保険制度改革 |
(平成10年2月4日付中医協検討項目にもとずく中間、非確定情報)
薬価 | -9.7% | 医療費換算 | -2.8% |
診療報酬 | +1.5% | ||
差し引き | -1.3% |
診療報酬+1.5%の実態
アップ 2.2.%
ダウン -0.7%ダウン内訳
- 長期入院 -0.1%
- 老人 -0.1%
- 画像・検査 -0.4%
- 病衣 -0.1%
概要
(My Opinion)
厚生省のいう「適正化」とは、「診療報酬を下げる」ことである。ドクターフィーとホスピタルフィーにどこまで点数の裏打ちがされるか?この春への鍵のようである。
平成12年4月1日 医療制度改革情報 |
A.機能分化の推進をおこなう。それに伴い全国165万床(有床診含む)を110万床 に削減する。
概略
- 特定医療機関(300床以上を目安)での外来受診の保険適用をはずす。(保険は国と医療機関との契約行為である事を前提として、契約を行わない。)療養費払いとする。
- 請求金額(疾病別の)が一定額を超える、また下回る医療機関は上記同様、保険適用をはずす。
- ベッド稼働率が低い場合、許可病床を返上させる。(平均稼働率プラス10%程度をめどとして)
- 地域支援病院は紹介率を60−70%程度満たしていること。
B.かかりつけ医(開業医)の活用による医療費削減
- かかりつけ医に人頭払い制を導入する。
- かかりつけ医に予防医学を保険で認める。ただし高額な検査(MRI等)はのぞく。
C.病院の新設を認める。ただし2年間程度は保険医療機関として契約を行わない。
D.病院の人員配置の見直し。(医師・看護婦・薬剤師等)
E.医療の質の向上
医師免許の更新制度の設定
認定医制度を確立し、医療の質の向上を図る。現状の認定医制度は再構築され、新たなものと成る。研修医の資格を得たものは、広告する事を可能とする。
来年(平成11年度)4月よりカルテの開示
医療監視で指摘事項は院内に公示させる。従わない場合は官報等で公示する。
F.医師の養成に関して
医学部定員を80名より30名に
医師国家試験に実技を導入
研修医(卒後2年程度)には保険診療を認めない
研修医(卒後2年程度)の生活給は国(保険)でまかなう
G.准看護婦問題
准看護婦制度は基本的に廃止しない。ただし、教育システム・資格認定システムをほとんど看護婦と変わらないものとし門戸を狭くする。
准看護婦には、一定の研修・試験で看護婦へ移行できるように制度を作成する。
H.都道府県に権限を大幅に委譲する。
I.保険証のカード可・電子レセプト実施。レセプト審査は都道府県別に行うが、支払いは全国一カ所に一本化。
J.長期療養型病棟への簡単な手続きでの移行許可終了。医療費と介護費を明確に分離させる。
厚生省試算の98年度医療費抑制策 |
平成10年1月17日発表
3230億円削減
試算根拠:薬価引き下げ9.7%、不正請求監視強化、高齢者医療費の適正化、診療報酬引き上げ1.5%
政管健保 | 健保組合 | 共済・船員保険 | 国保 | 医療保険全体 | |
薬価引き下げ | -2,660 | -1,620 | -520 | -1,170 | -5,970 |
診療報酬引き上げ | 790 | 710 | 230 | 450 | 2,180 |
国庫負担の見直し | 520 | 480 | 160 | -590 | 570 |
合計 | -1,360 | -430 | -130 | -1,310 | -3,230 |
単位:億円
(My Opinion)
医療費の適正化とは、何ら制度や考え方を変えることなく、締め付けることなのか!?どこにも適正化の具体的な対策がないままに、削減の試算の根拠になっていることはあきれたとしか言いようがない。
さらに、この試算での国庫負担の見直しに係る国保のみが590億円削減されていることに注目していただきたい。国保の赤字を他の保険に肩代わりさせるという御都合主義である。