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 1998〜1999年

目次

自民党の医療保険抜本改革の骨子
回復期リハビリテーション治療病棟について
99年度版厚生白書の概要
厚生省による介護保険料抑制案
医療保険適用と介護保険適用の療養型病床群の役割分担(厚生省案)
自民党による医療改革方針案のポイント
厚生省の介護報酬に対する考え方
厚生省、電子カルテを正式に承認
第4次医療法改正の骨子
2000年度医療保険改革に向けての3つの柱
高齢者医療制度見直し案について
診療報酬作業委が「論点整理」
病院消費税調査:損税が拡大
第4次医療法改正への検討項目
平成10年診療報酬改定影響度調査(中間報告)より
一般病床の区分について
特別医療法人制度について
98年度国民医療費予測
医薬品供給機構について
医師のカルテ開示義務、法制化へ
98年春の診療報酬改定・医療保険制度改革
平成12年4月1日 医療制度改革情報
厚生省試算の98年度医療費抑制策

1999年以降
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自民党の医療保険抜本改革の骨子
平成11年10月13日発表

  1. 70歳以上の高齢者の医療費負担について、現行の定額制をおおむね1割を超えな い定率制に切り替える
  2. 薬価差益を解消し、これによる医療機関の減収を補うために、医師の技術料を適正 に評価する(薬剤費の別途負担は2000年4月から全面廃止)
  3. 「出来高払い」中心の診療報酬体系を見直し、高齢者や慢性患者に対し「包括払い 」を拡大
  4. 高額療養費制度の患者の自己負担限度額(月額6万3600円)を見直す

医療制度抜本改革の基本的考え方(全文)−自由民主党ホームページへ

(健康保険組合連合会(千葉一男会長)のこれに対するコメント:10月14日)
  自民党の医療保険制度改革案について「極めて憂慮すべき状況にある医療保険財政の立て直しには十分な対策とはなっていない」としてさらなる抜本改革を求める声明を発表。
  特に改革案の柱である、老人患者の自己負担を現行の定額制から10%の定率制に移行させる方針に関しては「原則に忠実に具体的内容が明確にされることを望む」と確実な実行を求めている。
 

(My Opinion)

  どちらかというと日本医師会側の自民党と支払側とのつばぜり合いが今後激しくなりそうだ。今回の改革案も従来のものと大きく変わるものではなく、2000年を前にして具体性に欠く内容といわざるを得ない。
  すべての団体が納得する改革案は有り得ない。また、社会保障をとって国民の安心を得るか、財政の再建を優先するか、この両者が共立する改革案も有り得ない。自自公と安定政権を築いた同党のリーダーシップを期待したい。

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回復期リハビリテーション治療病棟について

  日本リハビリテーション病院・施設協会(会長・沢村誠志氏)は7月厚生省に対して急性期、慢性期の間の亜急性期を担うべく回復期リハビリテーション治療病棟の新設を要望した。

同要望書から

  回復期のリハビリテーションを必要とする患者を専門的に入院治療している病院では、新看護体系の3:1以上のマンパワーを確保しながらも平均在院日数が60日もしくは90日以上あるために、3.5:1もしくは4:1の看護料しか取れず、このままでは良質なリハビリテーション医療サービスの提供に支障をきたし、さらに経営的に破綻する可能性もある。

回復期リハビリテーション治療病棟の施設基準案

 

構造設備基準

  • 療養型病床群(完全型)の基本構造
  • 病棟単位で評価(原則的に50床以内)
  • 総合リハビリテーション施設もしくはPTU・OTUが併設

 

 

 

人員配置基準

医師

  • 当該24床に1名以上。うち1名以上はリハビリテーションを専門とする医師

看護職員

*看護31・看護補助31

PT

3名以上

 

当該病棟には原則的に左記の人員が配置されていること

OT

2名以上

ST

1名以上

MSW

1名以上

 

入院適応患者

回復期のリハビリテーションニーズがあり、ADLの改善や自宅復帰の可能性が十分にある点を、専従のリハビリテーションを専門とする医師が客観的基準により判定し、入院適応を決定する。

 

入院期間

  • 発症もしくは急性転化から6ヶ月以内
  • 例外規定として:遷延性意識障害・重度高次脳機能障害・重度の廃用症候群・重篤な合併症を持つ患者。その場合も専従医による客観的な判定が必要

 

診療報酬

  • 1日定額払い
  • リハビリテーションは出来高で算定
  • 回復期リハビリテーション治療病棟入院料として1日につき2,500

(My Opinion)

  2つより3つの方が座りがいい。これはすべての現象、制度につながるように思う。従来の急性、慢性の区分の間に亜急性が必要であることはかねてから主張してきた。亜急性の一つの提案として回復期リハビリ病棟である。この人員基準にどこまでのリハビリ病院がついていけるかが最も危惧するところである。しかし、亜急性期医療の議論の火付け役となることを望みたい。

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99年度版厚生白書の概要

   99年の厚生白書は、高齢者=社会的弱者というこれまでのとらえ方を変えた。高齢者も収入や資産、健康状態が大きく異なり「画一的にとらえるのは問題」と指摘した上で、「エージレス(年齢による区別がない)」社会の到来を告げている。

   ヤング・オールドと呼ばれる65歳以上75歳未満の高齢者の活躍ぶりや、高齢者の一割近い世帯は、勤労者世帯の平均収入・貯蓄を上回ることなどを示しながら、高齢者の知識や経験、技能が重要な役割を果たし「社会を支えていく主体」となることを予想している。
   白書では、退職後、農業の担い手などとして農作業を行う「定年帰農」という都会のサラリーマンのライフスタイルや、中高年世代が新たな事業を起こす「シニアベンチャー」が注目を集めていることを紹介。2010年からは、1940年代後半に生まれた団塊の世代が高齢者の仲間入りすることなどから、21世紀前半の高齢者世代を単に「社会に支えられる存在」とみるのは、「日本社会をつくりあげてきた世代のプライドを損ないかねない」と記述。
   一方、現役世代が高齢者の年金や医療の費用を負担する現行の世代間連帯は「賛成できない」との回答が39%あり、20歳代では半数近くという調査結果などを引用。現行の年齢による区分から、年齢にかかわらず「同じ能力を持つ人は同じ負担」(同白書)を基本にした制度への検討の必要性も訴えている。   

(My Opinion)

  若年者の負担率の逓減のためには取れるところから取ろうということになる。日本経済を引っ張ってきた団塊の世代は歳をとってもがんばれということになる。しかも、現状の中高年のリストラの恐怖にさらされながら・・・。

参照:インターネット覗き見Archives人口黄金時代、ソフト・ランディングへの最後のチャンス」(PDFファイル)

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厚生省による介護保険料抑制案

療養型病床群サービス費低く
在宅介護利用率を4割に設定
事業者間競争で価格低下を促す

保険料抑制を目的とした取り組み
1998年7月18日読売新聞朝刊より

(My Opinion)

   常套手段であるが、はしごに登らせて、多くの者が登りきったところではしごをとってしまった感がある。
  面積基準の広い療養型病床転換のために多くの医療機関はお金をかけた。それが、(環境の悪い)一般慢性期病床の長期入院医療費を根拠に報酬は削減される。
  また、利用者側は「金がない」を理由に在宅介護サービスさえ、利用を規制される。
  介護保険制度は老後の安心と、介護者の開放が目的ではなかったのか!介護サービス提供側も利用者側も不安はつのるばかりのようである。

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医療保険適用と介護保険適用の療養型病床群の役割分担(厚生省案)

 

介護保険適用療養型病床群

医療保険適用療養型病床群

主な対象と考えられる者

要介護認定で要介護15と判定された者

65歳以上の高齢者、4064歳の特定疾病の患者で、右欄の1,2に該当する者を除く)

病状が安定した長期療養患者のうち、主な対象は以下のような患者と考えられる。

  1. 合併症を持つ糖尿病患者や慢性呼吸器疾患、悪性腫瘍の末期患者、神経難病患者、人工透析を必要とする患者等で日常的に複雑な医療処置や検査など、密度の高い医学的管理および治療を必要とする疾患の患者
  2. 急性期後で積極的なリハビリテーション等の密度の高い医学的管理を必要とする疾患の患者
  3. 40歳未満の長期療養患者および4064歳の特定疾病以外の長期療養患者

職員体制

看護職員の配置としては、入院患者6人に対して1人を基本に評価(療養2群)

看護職員の配置としては、現在、入院患者5人に対して1人を上限として評価(療養1群)

リハビリテーション

状態の比較的安定した患者を対象とするリハビリテーション

急性期後化からの、機能回復を主眼とした積極的なリハビリテーションも評価

(総合リハビリテーション施設におけるリハビリテーション等)

処置や手術

慢性期の患者が、介護と併せて、通常必要とするような簡易な処置等については、介護保険から給付。複雑な処置や手術等については、医療保険から給付。

上記の患者が、頻繁に必要とするような複雑な医療処置や手術

 

(My Opinion)

   療養型病床群の行方が2つの制度間で揺れ動く。厚生省が挙げた整備目標19万床をはるかに超える勢いで増加している。両制度の開設基準における違いはケアマネジャーの有無以外に大きなものはない。すべての療養型病床が介護保険に行くと介護保険制度の保険料は増加する。医療と介護の垣根があまりにも不明確である。介護の部分に医療を取り込みすぎたところが根本的な問題のように思えてならない。

参照:医療経営Archives療養型病床群が医療法から消える

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自民党による医療改革方針案のポイント

  6月3日に自民党がまとめた医療保険制度改革の基本方針案のポイントは次の通り。

【医療改革】薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療、医療提供体制の各課題の関連性を勘案して2000年度からの実施を目指す。介護保険制度が医療制度に与える影響を考慮する。

【高齢者医療】患者負担については現役世代の負担とのバランスや介護保険制度との整合性を踏まえ、定額制から定率制へ見直す。

【薬価制度】薬価差を解消するとともに薬剤価格を適正化する。薬価算定方式を見直し、算定方式を透明化するための新機関を設置する。現行の別途負担は廃止し、新たな在り方を検討する。効き目の著しい画期的新薬の定義を拡大する。

【診療報酬体系】薬価差に依存する医療機関経営からの脱却を目指し、技術を適正に評価する。医療機関の機能分担、連携を促進する。包括(定額)払いを拡大する。

(My Opinion)

   参照価格制度を日本医師会の圧力で取り下げた自民党の対案である。従来からの流れを大きく変えるものではない。薬価差経営から技術料による経営へのシフトはもっともなことである。具体策に乏しいために議論の場にさえ上りがたい実状のように思えるものの、今後の議論の推移を見守るために一度整理しておきたい項目である。

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厚生省の介護報酬に対する考え方

−介護報酬は1点単価で表示、逓減制不採用などの考え方提示ー

厚生省は4月26日、医療保険福祉審議会の介護給付費部会(星野進保部会長)で、介護報酬設定について基本的な考え方を提示。

  1. 介護報酬は金額ではなく点数で表示し1点単価の違いで地域差を評価。
  2. 介護・看護職員・介護支援専門員の人件費、施設運営費、投薬、検査、放射線検査(単純なもの)を1日単位で要介護度に応じて設定する包括評価を基本とする。造影剤を用いた画像診断などの複雑な医療行為は医療保険給付とする。
  3. 入所(入院)時の食事費用は加算点数。介護療養型医療施設では療養環境、入院初期(1ヶ月)、退院指導、リハビリテーションなどは加算点数。介護老人保健施設では入院初期、リハビリテーション、外泊時施設療養費、痴呆専門棟加算。
  4. 入院期間などに応じた逓減制は導入しない。

*点数が入っていない介護報酬の骨格案を7月にまとめた上で、7月下旬に仮単価を公表し、平成12年1月に具体的な介護報酬を設定予定。

(My Opinion)

  特に療養型病床については介護保険型か医療保険型かどちらを選択するかで論議を呼んでいる。完全型の場合、要件は介護支援専門員の有無だけである。各病院の性格を省みてどこまでが加算となるかによって選択の道が変わってくる。この方針の提示によって、ある程度各病院の戦略が見えてくるのではないだろうか。

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厚生省、電子カルテを正式に承認

 病院のカルテ(診療録)は紙媒体による保存しか認められていなかったが、厚生省は4月23日、コンピューターで作成した電子カルテによる保存を認める通知を各都道府県知事に出した。医療の質を向上させ、患者の利便性、業務の効率化を図るのが目的。

 患者の症状を記録したカルテは、医師法で5年間、また検査などの諸記録は2年間の保存が義務づけられている。電子媒体の普及で、現行法でもワープロやパソコンでカルテを作成できるようになったが、保存する場合は、いったん紙媒体にプリントアウトして保存していた。
 今回の通知により病院のカルテ、エックス線写真のほか、薬剤師の調剤録なども、コンピューターのハードディスク、フロッピー、CD―ROM、磁気ディスクに入力して保存できるようになる。

 

 電子カルテを保存するにあたり、厚生省が作成したガイドライン

  1. 担当医など作成責任者、入力責任者の識別、認証(ID、パスワードなど)が確実に行われる
  2. 保存された文書、映像情報が分かりやすく、閲読できる
  3. 管理者は、患者のプライバシー保護意識の徹底を図り、ハッカーなど外部からの進入防止に努める。

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第4次医療法改正の骨子
  1. 一般病床を急性期と慢性期病床に区分する
    区分 急性期病床 慢性期病床
    主な人員配置
    (対患者数)
    ・医師:16対1
    ・看護婦・准看護婦:2.5対1(現行4対1)
    ・薬剤師:70対1
    ・医師:48対1
    ・看護婦・准看護婦:6対1(現行4対1)
    ・介護員:6対1
    ・薬剤師:150対1
    必要施設 手術室、診察室、臨床検査室、処置室、エックス線室、調剤所等 急性期病床において必要な施設の他
    機能訓練室、食堂、談話室、浴室
    病床面積
    (患者1人あたり)
    ・新設・全面改築:6.4u以上
    ・既設(3年の経過期間後):5.0u以上
    (現行は4.3u以上)
    6.4u以上
    廊下幅 ・新築・全面改築:1.8m以上(両側居室2.7m以上)
    既設:1.2m以上(両側居室1.6m以上)
    (現行基準と同じ)
    1.8m以上(両側居室2.7m以上)
    在院期間 3ヵ月以内 長期療養可
  2. 医療計画を段階的に見直す(病床区分ごとに必要病床数)
  3. 患者から求めのあった場合の診療記録開示を法制化する
  4. 広告規制を緩和し、診療所に関する広告は原則自由にする

医療法改正と診療報酬改定

 

医療法改正と診療報酬改訂

 

厚生省のホームページにリンク
診療報酬体系見直し作業委員会報告書(平成11年1月13日)

(My Opinion)

  医療法と診療報酬体系見直しのダブル効果で経済誘導を図り、さらに患者への情報提供を促進するというねらいが見える。「めりはり」という観点に立てば大いに評価できる。しかし、慢性期病床に対する医療費抑制だけで終わることがないか。慢性期の医療費を下げるだけではなく、本当に医療が必要な急性期に厚い医療費の担保が求められる。

参照:医療経営Archives 「医療法改正のゆくえ」(水野 肇 著)

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2000年度医療保険改革に向けての動き

3つの柱

  1. 診療報酬体系の見直し(医療保険福祉審議会より)
  2. 薬価制度の見直し  参照価格制度

    参照:医療経営Archives薬価上限制の導入断念を−医療費抑制できず

  3. 高齢者医療制度の見直し

厚生省のホームページにリンク
21世紀の医療保険制度(厚生省案)
−医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向−

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高齢者医療制度見直し案について

  厚生省は1月27日、現行の老人保健制度に代わる仕組みとして検討されている二つの案について、2000年度に導入した場合の財政への影響を試算した結果をまとめた。

 

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診療報酬作業委が「論点整理」

   厚生省の医療保険福祉審議会の診療報酬体系見直し作業委員会(五島雄一郎委員長)は1998年12月7日「論点整理」案を了承。

「論点整理」案

  1. 機能分化への対応
  2. 疾病構造変化への対応
  3. 技術評価の問題点
  4. 維持管理経費等の評価
  5. 出来高払い制と定額包括払い制
  6. 技術・患者ニーズの高度化とこれを保障する財源

(My Opinion)

   従来の議論を改めて整理したものである。急性期−慢性期の「めりはり」化、生活習慣病対策、技術料とキャピタルコスト、DRG・PPS等である。先送りすることなく、しっかりと議論していただきたい。
   特に、「技術・患者ニーズの高度化とこれを保障する財源」に関して、今後、医療が「どうしても必要な医療か」「患者の要求・欲求か」を見極めて患者自己負担率を変えていくという選択肢も考えるべきであると思う。

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病院消費税調査:損税が拡大

   日本病院会の医療経済・税制委員会(池澤康郎委員長)は、病院の薬剤などの仕入に要する支払消費税が診療報酬で一部しか補填されていないいわゆる「損税問題」の実態把握のため平成7年度の初回調査に引き続き「平成9年度消費税に関する調査報告書」(590会員病院の平成9年決算による)を取りまとめた。

   病院の消費税負担割合の平均が厚生省が診療報酬の中に含めたとされる1.53%(平成元年の消費税導入時の0.76%の上乗せ分と、平成9年4月の5%改定時の0.77%上乗せ分を合算)を1.12%上回る2.65%(1病院あたり約6,050万円の損税)と判明した。

税額控除できない消費税の社会保険医療収入(非課税売上)に対する割合(病院平均、単位:千円)

  医業収益の非課税売上 総収益中非課税売上 総収益中課税売上 非課税売上割合 支払消費税額 控除できない消費税額 控除できない消費税額割合 消費税の実質負担額(持ち出し額)
590病院の総合計 5,355,840 5,419,641 347,309 0.939 151,349 142,449 2.65 60,505

(My Opinion)

   そもそも誰が医療費の消費税をゼロとしたか。しかも、医療機関の仕入には消費税がかかる。医療団体側の責任も大きい。例外なく、広く浅く消費税は課税するはずであった。景気低迷の中消費税見直し論議が盛んである。例外を作らないこと、さらに益税業者の排除が本来の消費税の姿ではないだろうか。

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第4次医療法改正への検討項目

厚生省・医療審議会は第4次医療法改正に向けての検討項目を提示。

  1. 病床および入院医療の適正化
    1. 病床区分のあり方
    2. 人員基準、構造設備基準
    3. 医療計画における必要病床算定式
    4. 入院医療の質の確保
  2. 医療における情報提供の推進
    1. カルテ等の診療情報提供の在り方
    2. 医療法における広告規制の在り方
  3. 医療機関の機能分担と連携
    1. 病院・診療所の連携
    2. 公私医療機関の機能分担
  4. 医師・歯科医師の資質の向上
    1. 卒後臨床研修の必須化(医療関係者審議会において検討)
  5. その他
    1. 医療機関の経営主体の在り方(医療経営と患者サービス向上に関する小委員会で検討)

参照将来の医療展望

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平成10年診療報酬改定影響度調査(中間報告)より

日本病院会・統計情報委員会報告

   日本病院会・統計情報委員会は、平成10年4月に実施された診療報酬改訂と同時に行われた薬価基準の引き下げによる影響度調査の中間報告を発表した。

1日あたり点数比(4月/(2月+3月)メジアン)の平成8年、9年との比較

 

平成8年改定

平成9年改定

平成10年改定

入院

外来

入院

外来

入院

外来

総数

101.6

99.9

99.3

97.4

97.5

96.3

 

公的

199床以下

100.5

99.5

98.6

97.2

92.4

97.2

200-399

100.6

99.8

99.5

96.7

96.7

96.3

400床以上

102.3

99.6

99.5

97.0

98.2

96.7

 

私的

199床以下

100.3

100.4

98.6

98.5

97.5

95.9

200-399

101.7

101.1

98.3

98.6

98.5

95.5

400床以上

103.3

99.0

100.0

99.3

98.1

96.1

646病院における調査

   平成10年の改定では入院・外来ともに大幅なマイナス改定であったことが明らかになり、病院経営がさらに厳しさをました現状が浮き彫りにされた。特に、病床規模別で見ると、199床以下病院ではマイナス改定の影響率が大きく出ており、とりわけ公的では病床規模が小さいほどマイナス改定の影響が大きい。一方、外来を見ると、私的病院のマイナス幅が公的病院より大きく、特に200〜399床病院のマイナス幅が4.5ポイントと大きく、私的病院の経営が厳しい現状を物語っている。

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一般病床の区分について

   厚生省健康政策局の「必要病床数等に関する検討会」(座長=岩崎榮・日本医科大学常任理事)は、平均在院日数を考慮した一般病床の区分(亜急性期を含む急性期病床と慢性期病床の二区分)の導入という考え方を踏まえ、医療計画上の一般病床の必要病床数に関する算定方式を変更するよう求める報告書をまとめた。

新しい算定方式の概要

  1. 二次医療圏全体の必要病床数については、入院率の地域格差を是正した上で、目標となる平均在院日数の短縮を加味して病床数を算定する
  2. 急性期の病床数は、一定期間内の入院件数に目標となる平均在院日数をかけた数値を病床利用率で割った数とし、慢性期の必要病床数は、全体の必要病床数から急性期分を差し引いた数とする

(My Opinion)

   いよいよ99年春を念頭においた第4次医療法改正論議が姿をあらわし始めた。美味しいえさで、まず療養型病床に転換させ、これを介護保険へ押し出し、それでも(しぶとく)残った一般病床を区分していくという図式が見え隠れする。確かに限られた原資を元にする医療のなかで医療機関同士、医療機関内における機能を分担する「めりはり」は必要であろう。しかし、すべての発想が平均在院日数から始まっていることに疑問を感じないわけにはいかない。急性期と慢性期を在院日数だけで分けていいものであろうか。今後の動向に注目したい。

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特別医療法人制度について

平成10年4月1日の第三次医療法改正にて、「特別医療法人制度」新設

特別医療法人が営める収益事業

特定医療法人との違い

特定医療法人は大蔵大臣の認める課税特別措置による名称で、差額病床規制、医師給与の上限規制を除いて、同じ要件。

(My Opinion)

My Articles :「自由競争の荒波に身を投じる第一歩」 参照

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98年度国民医療費予測

98年医療費予測 厚生省は、毎年膨張を続けてきた国民医療費が1998年度は前年度比1.1%(約3000億円)減の28兆8000億円にとどまるとの推計をまとめ、5月22日に開催された医療保険福祉審議会に報告した。昨年9月に導入した薬剤費負担や老人医療の負担増などの結果、患者1人当たりの通院回数が減少したことなどが大きな原因。毎年ほぼ1兆円のペースで伸びていた国民医療費が、前年度より減るのは、61年度に国民皆保険制度が始まって以来初めてとなった。

  ただ、国民医療費のうち70歳以上が対象となる老人医療費は2.0%増の10兆4000億円と過去最高を更新する見込み。

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「医薬品供給機構」設立案

  日本医師会(坪井栄孝会長)は5月12日、現在の薬価基準制度に代えて、健康保険組合などの委託を受けて医薬品購入に当たる「医薬品供給機構」を新たに設立する新制度案をまとめ、医療保険福祉審議会(厚相の諮問機関)企画制度部会に提出した。

  ねらい:医療機関が医薬品の購入に携わらないようにすることで、経営原資の一部を薬価差益に頼っている現状を改める。

  新薬価制度をめぐっては政府、与党が既に、保険から支払う医薬品の限度額を設定し、限度額を超えた分は患者負担とする「参照価格制度」を2000年度をめどに導入する案あり。

  医師会案は、健保組合や国民健康保険などの支払い側、卸業者、地域医師会による協同組合などが「供給機構」を設立。供給機構がメーカーと価格交渉し、医薬品を購入する。医療機関は必要な医薬品を供給機構に発注し、納入してもらうだけとなる。
 医師会は「薬価差がなくなると同時に、支払い側の意向が価格交渉に反映されるので低価格化も進む」と主張。

(My Opinion)

   今回の医師会案は巨大な共同購入機構の創設と言ったところか。マスの強みを活かしてメーカーと機構は値段交渉をし、従来の卸業者は物流・配送の代行業者としてのみ生き残る。まさに、材料持ち込みの料理屋の発想のようである。料理屋は加工賃をもらうわけである。この加工賃がホスピタルフィー、ドクターフィーとしてどれだけ認められるかということになる。
   さらに、問題は「供給機構」の資本的裏付けである。「供給機構」の経営安定化のためには機構側で薬価差を生む。また、機構参加組合の経営が破綻した場合、その損失を誰が補填するかである。
参照価格制度を含めて大いに議論すべき問題である。

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医師のカルテ開示義務、法制化へ

  医師が患者の病名や治療法などを記録するカルテ(診療録)の患者への開示について検討してきた厚生省の「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」(座長・森島昭夫上智大教授)は4月23日、医療法を改正して、カルテ開示を医師の義務として法制化すべきとする提言をまとめた。同省は、5月に出される検討会の最終報告を受け、法改正作業に着手、早ければ来年にも法律に基づくカルテ開示が行われる見通しとなった。

  森島座長がまとめた提言:「あらゆる分野で個人情報の保護対策の充実が図られていることを考慮すると、法律上、(患者側の)開示請求権と(医師の)開示義務を定めることには大きな意義がある」と指摘。
 そのうえで、診療情報の患者への提供は、医師の職業上の義務であり、求めに応じてカルテを開示しなければならないことを医療法に明記するよう求めた。

My Articles:共有するには信頼関係が不可欠。見る側にも責任が要求されます

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98年春の診療報酬改定・医療保険制度改革

(平成10年2月4日付中医協検討項目にもとずく中間、非確定情報)

薬価 -9.7% 医療費換算 -2.8%
診療報酬     +1.5%
差し引き     -1.3%

診療報酬+1.5%の実態

アップ 2.2.%
ダウン -0.7%

ダウン内訳

概要

  1. 医療技術の評価・・・・ドクターフィー?
  2. 維持管理費用・・・・ホスピタルフィー?
  3. 急性期医療の評価・・・・在院日数短縮化の縛り、日帰り・1泊2日手術
  4. 医療機関機能別評価・・・・地域支援病院、療養型病床
  5. 患者への情報提供
  6. 患者の心身の特性に応じた評価・・・・小児、痴呆性老人
  7. 在宅医療
  8. 新しい医療技術の評価
  9. 継続的な医療管理・・・・かかりつけ医
  10. 診療報酬体系の簡素化、規制緩和

(My Opinion)

   厚生省のいう「適正化」とは、「診療報酬を下げる」ことである。ドクターフィーとホスピタルフィーにどこまで点数の裏打ちがされるか?この春への鍵のようである。

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平成12年4月1日 医療制度改革情報

A.機能分化の推進をおこなう。それに伴い全国165万床(有床診含む)を110万床 に削減する。

概略

  1. 特定医療機関(300床以上を目安)での外来受診の保険適用をはずす。(保険は国と医療機関との契約行為である事を前提として、契約を行わない。)療養費払いとする。
  2. 請求金額(疾病別の)が一定額を超える、また下回る医療機関は上記同様、保険適用をはずす。
  3. ベッド稼働率が低い場合、許可病床を返上させる。(平均稼働率プラス10%程度をめどとして)
  4. 地域支援病院は紹介率を60−70%程度満たしていること。

 

B.かかりつけ医(開業医)の活用による医療費削減

  1. かかりつけ医に人頭払い制を導入する。
  2. かかりつけ医に予防医学を保険で認める。ただし高額な検査(MRI等)はのぞく。

C.病院の新設を認める。ただし2年間程度は保険医療機関として契約を行わない。

D.病院の人員配置の見直し。(医師・看護婦・薬剤師等)

E.医療の質の向上

   医師免許の更新制度の設定
   認定医制度を確立し、医療の質の向上を図る。現状の認定医制度は再構築され、新たなものと成る。研修医の資格を得たものは、広告する事を可能とする。
   来年(平成11年度)4月よりカルテの開示
   医療監視で指摘事項は院内に公示させる。従わない場合は官報等で公示する。

F.医師の養成に関して

医学部定員を80名より30名に
医師国家試験に実技を導入
研修医(卒後2年程度)には保険診療を認めない
研修医(卒後2年程度)の生活給は国(保険)でまかなう

G.准看護婦問題

   准看護婦制度は基本的に廃止しない。ただし、教育システム・資格認定システムをほとんど看護婦と変わらないものとし門戸を狭くする。
   准看護婦には、一定の研修・試験で看護婦へ移行できるように制度を作成する。

H.都道府県に権限を大幅に委譲する。

I.保険証のカード可・電子レセプト実施。レセプト審査は都道府県別に行うが、支払いは全国一カ所に一本化。

J.長期療養型病棟への簡単な手続きでの移行許可終了。医療費と介護費を明確に分離させる。

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厚生省試算の98年度医療費抑制策

平成10年1月17日発表

3230億円削減

試算根拠:薬価引き下げ9.7%、不正請求監視強化、高齢者医療費の適正化、診療報酬引き上げ1.5%

  政管健保 健保組合 共済・船員保険 国保 医療保険全体
薬価引き下げ -2,660 -1,620 -520 -1,170 -5,970
診療報酬引き上げ 790 710 230 450 2,180
国庫負担の見直し 520 480 160 -590 570
合計 -1,360 -430 -130 -1,310 -3,230

単位:億円

(My Opinion)

   医療費の適正化とは、何ら制度や考え方を変えることなく、締め付けることなのか!?どこにも適正化の具体的な対策がないままに、削減の試算の根拠になっていることはあきれたとしか言いようがない。
   さらに、この試算での国庫負担の見直しに係る国保のみが590億円削減されていることに注目していただきたい。国保の赤字を他の保険に肩代わりさせるという御都合主義である。

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