将来の医療展望
下図のような、世界最速といわれる高齢者人口の増加と生産年齢人口の減少のもと、現状においても65才未満の受療率の低下、65才以上の受療率の著明な上昇が指摘されております。これは、若年者には保健・体力つくりのニーズが、高齢者には医療・福祉サービス(=normalization)へのニーズがあるものと思われます。
前者が、THP(total healthcare promotion)や検診事業へとつながり、後者は、公的介護保険へとつながっていくものと思われます。
今後の課題
- 低経済成長下での医療・福祉の財源確保
租税負担額(税金)と、社会保障負担額(年金や医療保険の保険料)の合計が国民所得の何%かを示す国民負担率:6月の自民党「橋本行革ビジョン」では、45%程度を目標に打ち出した。福祉大国といわれるスウェーデンは1993年に70・0%に達した。
医療費・国民所得の対前年度伸び率(%)
| 平成元年度 | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 | 平成6年度 | 平成7年度 |
国民医療費 | 5.2 | 4.5 | 5.9 | 7.6 | 3.8 | 5.9 | 5.3 |
老人医療費 | 7.7 | 6.6 | 8.1 | 8.2 | 7.4 | 9.5 | 7.1 |
国民所得 | 6.9 | 7.3 | 5.0 | 1.7 | 0.9 | 0.2 | 1.8 |
- 診療報酬の包括化
- 規制緩和
- 医療と福祉の統合−医療福祉法人の設置
- 医療法人の医業外事業への進出=特別医療法人
- 企業の医療分野への進出
- 病院評価・病院類型化による病院間の差別化
- 在宅医療へのシフト
- 病院のチェーン化
- 吸収合併(M&A)(強固なチェーン)
- 経費削減策→共同購入グループ→フランチャイズチェーン、ボランタリーチェーン化(緩やかなチェーン)
- 人的サービスに高齢者をいかに活用するか(定年制の見直し)
高齢者の雇用に伴う若年者の失業率のアップが背中合わせに存在。
- 医療の情報化
問題点
- 少子化の中で、在宅医療へシフトできるか
女性の社会進出に伴い、子どもは保育施設へ、老人は在宅へ(?)
- 医療提供者の公私間格差
医療費抑制政策の中で、赤字公的医療機関の新築ラッシュ:民間は対抗できるか?
民間の新規事業に対する信託、医業外原資の導入
- 公的介護保険料を低成長下の若年層が負担し得るか